『ガンダム』超高速で迫ってくるドム怖っ! 「ホバー移動」の機体が普及しなかった謎

AI要約

ジオン軍の重MS「ドム」は、機動性の高いホバー移動が特徴的で、ジェットストリームアタックと合致した演出が印象的だった。

ドムのホバー移動は新型MSとして導入された移動システムであり、高速移動が可能である。

ドムは全備重量90tで100t以上の液体水素を搭載し、5時間程度のホバー走行が可能である。

『ガンダム』超高速で迫ってくるドム怖っ! 「ホバー移動」の機体が普及しなかった謎

『機動戦士ガンダム』に登場するジオン軍の重モビルスーツ(MS)「ドム」は、劇中で初めて「重MS」と言及されただけあり、「ザク」や「グフ」よりもシルエットが大きく、にもかかわらず、地上をホバー移動で高速走行する機動性の高さが印象的でした。

 このホバー移動自体は「MSを歩行させるよりも作画負担が減るから」という身もふたもない動機で構想されたようですが、ジオン軍エースパイロット部隊「黒い三連星」が、3機一体で目標を高速で襲撃する「ジェットストリームアタック」とも合致した演出となっており、ドムの強敵感が伝わってくる好演出でした。

 さて、設定を紐解けば、ドムのホバー移動は「ザクIIやグフの戦略的展開速度が遅い」ことから、新型MSに「熱核ジェットエンジンにホバークラフトの技術を応用した」移動システムを導入することが求められ、導入されたものです。

 実際、ザクIIの歩行速度は88~160km/h(資料により異なる)、グフは99km/hなのに対して、ドムは巡航速度で90km/h、最高速度だと110~380km/h(資料により異なる)と、高速移動が可能です。

 ドムと対戦した地球連邦軍の「ガンダム」は、歩行速度130~205km/h(資料により異なる)とされています。移動性能でガンダムを圧倒した劇中描写から見て、ドムが最高速度380km/hでも不思議はないと思われます。新幹線よりも速い速度で、あんな物体が迫ってくると考えるなら、恐ろしいことです。

 ドムはこの歩行システムにより、機体を浮き上がらせた状態でスラスターと併用することで、5時間程度のホバー走行が可能なようです。本体重量62.6t、全備重量90tという設定で「100t以上の液体水素を燃料として搭載」していたとのことなので、燃料は全備重量に含まれず、出撃時は190tということになります。まさに「重MS」と言えるでしょう。

 これほどの高速移動性能を持ちつつ、ホバー移動しながらヒートサーベルでの白兵戦や、高威力の「ジャイアント・バズ」を放てるわけですから、まさに「ジオン脅威のメカニズム」と言えます。しかし、不思議なことに「ホバー移動する機体」は、ドム以降、「ドワッジ」などのドム系の機体以外ではあまり見られません。

 特に地上戦で有効そうな装備ですが、なぜ普及しなかったのでしょうか。