井上祐貴&尾碕真花、『虎に翼』でネクストブレイク必至か “朝ドラ出演”の強大な影響力

AI要約

朝ドラ『虎に翼』の放送も残り1カ月。出演俳優にとっては知名度アップやブレイクのきっかけになる可能性がある。

今回は、『虎に翼』で複雑な感情を見事に表現した井上祐貴と尾碕真花に注目。彼らの演技に説得力があり、今後の活躍が期待される。

それぞれが異なる役柄をこなし、幅広い演技力を見せつけている井上と尾碕。役柄の幅を広げる良い機会となった作品でもある。

井上祐貴&尾碕真花、『虎に翼』でネクストブレイク必至か “朝ドラ出演”の強大な影響力

 朝ドラ『虎に翼』(NHK総合)の放送も、残すところあと1カ月に。本作にも数多の俳優が出演したが、朝ドラへの出演は俳優にとって知名度アップやブレイクのきっかけとなり得る。近年では、例えば舞台中心に活躍していた松下洸平は『スカーレット』(NHK総合)十代田八郎役、奈緒は『半分、青い。』(NHK総合)でヒロインの友人・菜生役で大ブレイクし、世に名前が知られることとなった。

 『虎に翼』でそうした“ネクストブレイク”俳優を挙げるとすれば、第22週での功労者、星朋一を演じた井上祐貴と星のどかを演じた尾碕真花を推したい。第20週から描かれてきた星家のピリっとした雰囲気と、その裏にあったいじらしく子どもらしい感情のバランスを見事に演じ切ってみせた。

 朋一ものどかも、寅子(伊藤沙莉)と過ごして変化した父・航一(岡田将生)への戸惑いや、子どもらしくいられなかった過去への悲しみ、それゆえの寅子や優未への不快感など、複雑な感情の上に成り立っている役柄だ。それをたった1週分の放送で表現できたのは、2人がふとしたときに見せる諦念ともとれる表情、感情が溢れたときの必死な声色などに説得力があったからだ。

 しっかり者ながら、かすかに滲む子どもらしさがあった朋一役の井上は、第42回ホリプロタレントスカウトキャラバンで審査員特別賞を受賞し、特撮ドラマ『ウルトラマンタイガ』(テレビ東京系)でテレビドラマ初主演を果たした。

 『unknown』(テレビ朝日系)の闇原漣や『何曜日に生まれたの』(テレビ朝日系)の江田悠馬など、2枚目の役柄を演じることが多かった井上だが、1月期『マルス-ゼロの革命-』(テレビ朝日系)では、お笑い担当の二瓶久高を好演。二瓶は、短ラン・リーゼント・髭が特徴のお調子者のバンドマンという役柄で、腹の底から大きな空気の塊を出すような勢いのある語り口。『虎に翼』で見せているクールながらも、いじらしいといった複雑な人間性とは真逆の芝居が楽しめる。

 自身の悲しみや憤りを寅子や優未への不快感という形で表現したのどかを演じた尾碕は、第13回全日本国民的美少女コンテストで審査員特別賞を受賞して、芸能界入り。アイドルグループ「X21」のメンバーを経て、2019年にスーパー戦隊シリーズ『騎士竜戦隊リュウソウジャー』(テレビ朝日)では、アスナ/リュウソウピンクを演じた。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』でもあき役を演じ、8月29日から配信されている『恋愛バトルロワイヤル』(Netflix)にも出演している。

 尾碕は天真爛漫さのある笑顔で朗らかな印象の役柄を演じることが多く、のどかのようなクールでひねくれた役を演じるのはどちらかと言えば珍しい。『虎に翼』では、かわいさもあるスッキリとした表情と口元だけが笑っているよそいきの笑顔、航一とのわだかまりが解け、決壊したように流す涙が印象的だった。確実に役柄の幅を広げるきっかけとなっただろう。

 井上や尾碕のほか、花江(森田望智)の息子を演じている青山凌大や今井悠貴、山田よね役の土居志央梨や崔香淑(汐見香子)役のハ・ヨンスなども含めて、『虎に翼』出演俳優たちの今後の活躍に期待したい。