韓国映画を支えるこの“おじさん俳優”たち知ってる?一度見たら忘れない、いい顔がずらり!

AI要約

韓国映画界で注目のタイトルが続々と公開されている。有名俳優たちが主演を務める中、注目すべき脇役にも名優が勢揃いしている。

個性豊かな脇役たちを紹介。例えば、コメディと悪役をこなすキム・ソンギュンや、無骨な風貌で頼りになる男を演じるチョン・マンシクなどが挙げられる。

さらに、人情味あふれる笑顔が魅力のキム・サンホや、コミカルな芝居で注目を集めるパク・ジファンなど、多彩な個性を持つ脇役たちが、映画作品に新たな魅力を加えている。

韓国映画を支えるこの“おじさん俳優”たち知ってる?一度見たら忘れない、いい顔がずらり!

公開中の『ソウルの春』や『ボストン1947』、『憑依』(9月6日公開)、『ランサム 非公式作戦』(9月6日公開)、『犯罪都市 PUNISHMENT』(9月26日公開)と、このところ注目のタイトルが相次いでいる韓国映画。

どの作品もファン・ジョンミンやハ・ジョンウ、カン・ドンウォンにマ・ドンソクといった有名俳優が主演を務めているが、そんな人気者を支える脇役にも名優が勢ぞろい。韓国映画好きなら一度は見たことがあるであろう、“いい顔”のおじさんたちをチェックしていきたい。

■強烈なヤクザ役でブレイク、コメディもこなすキム・ソンギュン

1979年の大統領暗殺後の韓国で実際に起こった軍事クーデターを、権力を握ろうとする権力の亡者とそれに立ち向かう男の対立を中心に描き、韓国で歴代級のヒットとなった『ソウルの春』。軍の派閥が絡み合う本作にはW主演のファン・ジョンミンとチョン・ウソンを筆頭に実力派俳優がキャスティングされており、キム・ソンギュンもその一人として存在感を示している。

スクリーンデビューを飾った『悪いやつら』(12)では、ハ・ジョンウ演じるヤクザの右腕役を演じ、宮史郎的なユニークな髪型とたくましい顎周りを持つ個性的なルックスでインパクトを残すと、その後は悪役俳優としてたちまちブレイク。不気味なキャラクターを演じる一方で、コメディにも多く出演し、会社の近くに購入した念願のマンションが崩壊してしまう悲運の主人公をコミカルに演じた『奈落のマイホーム』(21)などで人気を高めてきた。

『ソウルの春』では高潔な軍人である首都警備司令官イ・テシン(チョン・ウソン)が信頼を寄せる憲兵監ジュニョプ准将を演じており、チョン・ドゥグァン(ファン・ジョンミン)側のクーデターに逃げ腰な軍の首脳陣に楯突き、強硬姿勢を貫き通す信頼できる男を好演。上の立場の人からの圧にも決して怖気づかないタフさが顔つきにもしっかりと出ていた。

■無骨なルックスのまさに頼れる男!チョン・マンシク

同じく『ソウルの春』でインパクトを残していたのが、渡辺謙かつ渡辺いっけい的なルックスの雰囲気が日本人にもなじみのある(?)チョン・マンシクだ。本作でメガホンを握るキム・ソンス監督の前作『アシュラ』(16)では主人公の悪徳刑事に圧をかけて、市長の悪事を暴こうとする暴力的な検察官を演じるなど、無骨なたたずまいを生かして『哀しき獣』(10)、『ベテラン』(15)といったヒット作にも出演してきた。

『ソウルの春』では、テシンに共鳴する特殊戦司令官のコン・スヒョク少将役にキャステイングされたマンシク。軍事クーデターによってドゥグァン率いる反乱軍から襲撃を受けると、部下は立ち退かせる一方で、自分は最後までその場に残って戦う頼れるリーダーを、意思を感じさせる眼差しと重厚な存在感で体現。この男ならついていきたいと思わせるカリスマ性も抜群だった。

キム・ソンス監督が約60名にもおよぶキャラクターの配役をこだわり抜いたそうで、彼らのほかにも、一度は見たことがあるようなベテラン俳優が随所に登場。おじさんだらけだが、誰が誰だか混乱しないようなキャスティングも絶妙だ。

■人情味ある笑顔がキュートなキム・サンホ

現代韓国映画の原点とも言える『シュリ』(99)のカン・ジェギュ監督がメガホンを握った『ボストン1947』。本作は、1936年のベルリン五輪で日本代表として金メダルと銅メダルを獲得したソン・ギジョンとナム・スンニョンが、戦後にマラソンチームを組み、若き選手が祖国の国旗をつけてボストンマラソンを走れるよう奮闘する姿を描いている。

ソン・ギジョン役のハ・ジョンウ、若きランナーであるユンボク役のイム・シワンといった人気俳優のなかで、チャーミングな存在感を示しているのがベテラン俳優のキム・サンホだ。人のよさそうな笑顔や人情味があふれるたたずまいが印象的なサンホは、映画やドラマで幅広く活躍。日本の『焼肉ドラゴン』(18)では寡黙で優しい一家の父役を好演しており、覚えている人も多いのではないだろうか。

『ボストン1947』では、ボストンマラソンのため渡米したギジョンたちと大会側との間を取り持つ在米の保証人ペクを演じている。調子のいい笑顔で金こそすべてというどことなく胡散臭い男になりきる一方、ギジョンたちに絆され、誇りを取り戻していく様子も表現。選手の活躍に喜ぶ笑顔が最高だ。

■コミカルな芝居で目を奪うパク・ジファン

悪を懲らしめるためなら手段を選ばないマ・ドンソク扮する怪力刑事マ・ソクトの活躍を描く「犯罪都市」シリーズ。アクションに加え、ギャグも魅力的なこのシリーズで、コミカルなエッセンスを加えているのが、1作目から全作に出演しているパク・ジファンだ。

悪役とユーモラスなキャラクターでキャリアを積み上げてきたパク・ジファンにとって、ブレイクのきっかけとなった『犯罪都市』(17)では弱小ヤクザのボスであるチャン・イスを演じ、威勢はいいが、圧倒的な怪力を持つソクトにビビり、いいように使われる小悪党ぶりで笑いを誘った。

シリーズを重ねるごとにその扱いのひどさはエスカレートしており、『犯罪都市 PUNISHMENT』では商売により成金になっていたが、オンラインカジノに詳しいという理由から捜査に協力することに。ヤクザ時代は坊主だった髪が伸びに伸びた長髪のルックに浮かべる喜怒哀楽豊かな表情はとにかくチャーミング。物語のオチを担うなど過去作にも増して大活躍だった。

■役ごとに印象が異なるカメレオン俳優イ・ドンフィ

同じく『犯罪都市 PUNISHMENT』で怪しげな輝きを放っているのがイ・ドンフィ。『エクストリーム・ジョブ』(19)では捜査アジトにしていたフライドチキン屋が繁盛する状況に嘆きながらも一人奮闘する張り込み刑事を演じ、『幼い依頼人』(19)では弟殺しの容疑者となった10歳の少女を救おうと奮闘する弁護士役でシリアスな一面を見せるなど、作品ごとに異なる印象を見せる個性派俳優と評されている。

『犯罪都市 PUNISHMENT』で演じたのはヴィランの一人で、表向きは実業家、裏の顔は犯罪組織のオーナーという“ITの天才”チャン・ドンチョル。ボスでありながら反抗的な部下にビビるなど器の小さい男で、ニターっとした笑顔でひどいことをさらっと言い放つ冷酷な悪役を生き生きと演じている。

引っ張りだこのドンフィは、霊の存在を信じないインチキ祈祷師がある少女の除霊で邪悪な悪霊と対峙することになる『憑依』にも名を連ねている。ある秘密を抱える祈祷師のチョン博士(カン・ドンウォン)の助手で、ハイテクな技術を操りインチキを成り立たせるインベ役を演じているドンフィ。美人な依頼者に鼻の下を伸ばしたり、儀式中に予想外の悪霊が現れて慌てふためいたりとユーモラスな芝居で、どっしりと構えるチョン博士のただ者ではない感を際立たせた。

■出演作が立て続けに公開中のキム・ジョンス

同じく『憑依』でチョン博士たちの悪霊退治に協力するファン社長を演じているのがキム・ジョンスだ。ジョンスといえば、数多くの作品をどっしりとした演技で支えてきた“いぶし銀”。ここ最近も、厳格な税関係長に扮した『密輸 1970』や裏社会のボスを演じた『このろくでもない世界で』が立て続けに公開されており、目にした人も多いことだろう。

『憑依』では、チョン博士となじみの骨董品の店主を演じており、長髪を後ろで結んだどことなく胡散臭いビジュアルが新鮮だ。インチキ除霊を咎めるチョン博士の過去を知る人物であり、時に怒号を浴びせたりとベテランらしい重みのある演技はさすがだ。

さらに、レバノンで拉致された韓国人を救うというミッションを課された外交官とタクシー運転手の戦いを描いたポリティカルアクション『ランサム 非公式作戦』には、外交官をまとめる外務部長官のチェ・ガンソク役で出演。非公式な作戦を実行するにあたり、安全企画部部長の圧と部下たちの進言の板挟みの状況で決断を迫られる胸中を、渋みのある姿で表現した。

話題作が立て続けに公開されている韓国映画、主演はもちろん、作品を脇から支えるいい顔のおじさんたちにも注目してみてほしい。

文/サンクレイオ翼