テイラー・スウィフトのコンサートで自爆テロ未遂…“イスラム過激派”暗躍で迫る「日本への恐怖」

AI要約

テイラー・スウィフトのオーストリア・ウィーン公演がテロ計画により中止され、逮捕された10代の容疑者とISISとの関係が疑われている。

容疑者らは大規模なテロ攻撃を計画しており、自爆テロや爆発物の製造を試みていた。

イスラム過激派組織との関連性が指摘される事件は、コンサートを標的にしたテロが過去にも発生しており、厳重な警備態勢が必要とされる。

テイラー・スウィフトのコンサートで自爆テロ未遂…“イスラム過激派”暗躍で迫る「日本への恐怖」

テイラー・スウィフトのオーストリア・ウィーン公演(8月8日から10日までの3日間)がテロ計画により中止された事件で、逮捕された3人の10代の容疑者とイスラム過激派組織ISISとの関係や戦慄のテロ計画が浮上している。

ISISはイラクとシリアで発生したイスラム過激派組織で、日本では“イスラム国”と言えばわかりやすいだろう。

オーストリアの治安当局によると、スウィフトのコンサートでテロ攻撃を計画したとして8月7日、17歳と19歳の容疑者を逮捕。8日夜には3人目の18歳の容疑者を逮捕した。

米『Page Six』紙によれば、主犯格の容疑者は自爆テロを実行し、自家製の爆発物とナイフを使って

「できるだけ多くの人を殺害したかった」

と自供したという。

19歳の容疑者は北マケドニアにルーツを持つオーストリア人で、逮捕後にテロ計画を自供。家宅捜索で爆発物の製造に使用される可能性のある化学薬品や物質が押収された。

捜査当局は容疑者の「ネットワーク」を精査しており、物的証拠や電子的証拠を調べているという。

同容疑者は、ベルリンを拠点とするイスラム主義者で「憎悪の伝道師」と呼ばれるアブル・バラアによって過激化されたと考えられている。バラアが説教をしていたモスクには、ドイツのISIS戦闘員が長年にわたり頻繁に訪れていたという。

公演が行われる予定だったスタジアム近くで逮捕された17歳の容疑者は、コンサート開催中に会場でサービスを提供する会社に数日前に雇用されたばかりだった。家宅捜索でISISやアルカイダに関連する膨大な資料が押収された。

18歳の容疑者はイラク人で、主犯格と接触していたが直接今回の計画には関係ないものの、最近オンラインでISISの指導者に忠誠を誓っていたという。

オーストリアのコンサート主催者は、1回のコンサートでスタジアム内に最大6万5000人のファン、屋外には最大3万人のファンが集まると予想していたと語った。実行されていたら大惨事になるところだった。

オーストリアのカール・ネハマー首相は8日、

「容疑者らは大惨事を引き起こす非常に具体的かつ詳細な計画を立てていた」

と明らかにした。オーストリアのプライバシー規則により、容疑者の名前は公表されていないという。

「イスラム過激派がコンサートを標的にしたテロは今回が初めてではなく、‘17年にはイギリス・マンチェスターで開催されたアリアナ・グランデのコンサートで過激派サルマン・アベディが手製爆弾を爆発させ、22人が死亡、200人以上が負傷した事件が発生しています。爆弾犯は爆発で死亡したが、弟のハシェム・アベディは後にテロ計画への関与を認め、懲役55年の判決を受けました」(スポーツ紙記者)

この事件に衝撃を受けたスウィフトは‘19年に、人生における「最大の恐怖」はコンサートでの暴力的な襲撃だったと語っていた。

今年7月29日には、イギリスのサウスポートでテイラー・スウィフトをテーマにしたダンス教室にフードをかぶった17歳の少年が乱入し、ナイフで参加者を切りつけ、3人の少女が死亡した。その襲撃の動機は不明という。

オーストリア当局は、容疑者らが通信に使用したとされるメッセージングアプリの監視がオーストリアの法律で認められていないため、米国諜報機関からスウィフトコンサートの脅威に関する情報を受け取ったといわれている。

ウィーン3公演が全て中止される異例の事態となったが、テロ計画が未然に阻止され大惨事を免れた。スウィフトの今後の公演は厳重な警備態勢が敷かれるという。

アルカイダやISなどイスラム過激派組織の国際テロはイラク、シリア、アフガニスタンなどで頻発しているほか、‘15年11月にパリのバタクラン劇場などを狙ってイスラム過激派グループが無差別銃撃テロを起こし130人が死亡。‘17年6月には、ロンドンの繁華街に自動車が突っ込んで、乗っていた3人が周囲の人々を刃物で襲い、ISが犯行声明を出した事件などヨーロッパやインドネシアのバリ島で起きている。

日本での同様の事件はこれまでほとんどなかったとみられるが、防衛費を大幅に増額して米国との軍事同盟を強化する日本も、イスラム過激派組織のターゲットにされる可能性はゼロといいい切れないだろう。スウィフト公演襲撃未遂事件を“対岸の火事”とせず、さらなる対策を検討していく必要がありそうだ――。

文:阪本良(ライター、元『東京スポーツ新聞社』文化社会部部長)