ゴルゴ13が笑ってる…100巻超えの漫画の“最初”って? 衝撃的な幕開けをした「第1話」を振り返る

AI要約

 漫画界には、数十年にわたって連載が続く人気作があり、その中には100巻を越える作品もある。長期連載されている作品では、初期設定されていた主人公の性格や行動が意外に違っているケースもある。

 『ゴルゴ13』や『こちら葛飾区亀有公園前派出所』など、100巻超えの漫画作品に登場する主人公たちの第1話では、意外な一面が見られる。ゴルゴ13は冷静沈着で無口なイメージだが、第1話では喜怒哀楽を多く見せる。一方、『こち亀』の両津はイケメンでシリアスな顔つきで登場するが、最後には本作らしいギャグ要素がしっかり取り入れられている。

 漫画の第1話からは、それぞれの作品の豊かな世界観やキャラクターの成長が垣間見える。長期連載作品として読者を楽しませ続ける秘訣が、第1話にも色濃く反映されている。

ゴルゴ13が笑ってる…100巻超えの漫画の“最初”って? 衝撃的な幕開けをした「第1話」を振り返る

 漫画界には、数十年にわたって連載が続く人気作がある。なかには100巻を越える作品もあり、長年、読者を楽しませ続けてくれている。

 しかし長期連載されている作品では、初期に設定されていた主人公の性格や行動がかなり違っているケースもある。そこで今回は100巻超えの漫画のなかから、意外と知られていない衝撃的な幕開けをした「第1話」を振り返ってみたい。

『ゴルゴ13』は、さいとう・たかをさんによるアクション劇画で、1968年より『ビッグコミック』(小学館)で連載が開始された。コミックスはなんと全213巻、2021年に201巻が刊行された際には、「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」としてギネス世界記録が認定されている。

 そんな本作は、暗殺を遂行する孤高の一流スナイパー、デューク東郷(通称:ゴルゴ13)の活躍を描いた作品である。ゴルゴの性格は冷静沈着で無口、女性を抱くときでさえ顔色一つ変えないといったイメージがあるだろう。

 だが、第1話でのゴルゴは少々違った。第1話「ビッグ・セイフ作戦」にて、ゴルゴ13は英国諜報部から元ナチス親衛隊長の殺害を依頼される。無事に任務を遂行するゴルゴだったが、実は諜報部員は彼のことも抹殺しようとしていた。しかしゴルゴのほうが一枚うわてで、結果的には相手を得意の銃で打ち負かす。

 この第1話においてゴルゴ13は、よく話し、喜怒哀楽を多く見せている印象だ。荷物が届いた際には笑顔を見せ、敵を発見すると「むっ!?」と驚く。

 しかし、ストーリーが進むにつれ、彼は余計なことを話さず、だんだんと表情も変えなくなる。このため、第1話のゴルゴが冷や汗をかいたり笑みを浮かべたりする姿を見せるのは、非常に珍しいといえるだろう。

 秋本治さんによる『こちら葛飾区亀有公園前派出所』は、1976年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された作品だ。コミックスは全201巻まであり、ゴルゴと同じく過去には世界ギネス記録にも認定されている。

 通称『こち亀』と呼ばれる本作は、主人公の警察官・両津勘吉が東京の下町を舞台にハチャメチャな展開を繰り広げるギャグ漫画だ。物語が進むにつれ、お座敷飛行機や幽霊が出てきたりと、そのハチャメチャっぷりはどんどん加速していく。

 そんな本作の第1話「始末書の両さんの巻」で登場する両津は、眉毛こそつながっているもののかなりのイケメン(!?)だ。顔つきもかなりシリアスで、ギャグの要素もそれほど大きくない。

 また、昼食を盗み食いしたドラネコに何度も銃をぶっ放すシーンや、さらには拳銃についての詳しい解説が登場するなど、昭和に流行った『太陽にほえろ!』などの刑事作品を意識しているかのような描写も多く見られる。

 ただし最後は、上司によって両津らは崖っぷちにある派出所に追いやられてしまうオチがついており、第1話から“『こち亀』らしさ”がしっかり取り入れられていた。