99歳で死去・桂米丸さん「ドローンをネタにした落語を作りたいんだ」新作派で常に創作意欲

AI要約

落語芸術協会の最高顧問で、現役最高齢落語家の桂米丸さんが都内の病院で死去した。

米丸さんは創作意欲旺盛で、新作落語を次々と創作していた。

弟子にとって厳しい一面も持つ一方で、スリーピースのスーツ姿でオシャレな一面もあった。

99歳で死去・桂米丸さん「ドローンをネタにした落語を作りたいんだ」新作派で常に創作意欲

 落語芸術協会の最高顧問で、現役最高齢落語家の桂米丸(かつら・よねまる、本名・須川勇=すがわ・いさむ)さんが1日午後4時45分、老衰のため都内の病院で死去した。99歳だった。落語芸術協会が5日に発表した。

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 訃報を聞き、一瞬であの甲高い独特の声が頭の中でよみがえった。

 初めて取材したのは20年ほど前、心筋梗塞(こうそく)からの復帰高座だったと記憶している。楽屋で背筋を伸ばして凜(りん)として語る姿に“若さ”を感じた。以来、寄席の楽屋でお会いしてもスリーピースのスーツにポケットチーフにハットをかぶり、とてもオシャレで粋だった。若くして売れてから第一線を走り続けてきた美学がそこにあった。

 新作派として次々創作した。17年の三越劇場で内海桂子さんとの演芸会では「ドローンをネタにした落語を作りたいんだ」と問わず語りのように語っていた。ある落語会では一度サゲてから、話を続け「こんな終わり方もある」と3、4回違うサゲを披露。会場をドカンと爆笑の渦に巻き込んだことも強烈に覚えている。

 弟子には厳しかった。大御所でもある米助師匠が姿勢を正し接するほど。「また小言、言われちゃったよ」と苦笑する姿を何度も見てきた。

 数年前から老人ホームで生活する米丸さんを、米助師匠が寄席の高座にあげたいと動いていたことがあった。本人も乗り気だったという。惜しくも実現はしなかったが、弟子にそう思わせる米丸さんは何とも幸せものだと思っている。(元演芸担当・高柳 義人)