80年代の「夏の名曲」ランキング!9位・大瀧詠一『君は天然色』、7位・中森明菜『サザン・ウインド』…上位に入った「大ヒットCMソング」

AI要約
1980年代の日本の音楽シーンにおける人気曲やアーティストについての話。山下達郎や大瀧詠一の楽曲が取り上げられ、当時のヒット曲がどのように生まれたかなどが紹介されている。
80年代の「夏の名曲」ランキング!9位・大瀧詠一『君は天然色』、7位・中森明菜『サザン・ウインド』…上位に入った「大ヒットCMソング」

高度経済成長からバブルへと向かいつつあった、1980年代の日本。この時期は音楽シーンも熱かった。『週刊現代』では、読者アンケートをもとに「あなたが好きな、80年代夏の名曲ランキング」を作成。

ズラリと並んだヒット曲とともに、当時の熱い思い出が甦ってくる――。

10位(100票)は、山下達郎の『高気圧ガール』(83年)。全日空の沖縄キャンペーンCMに使われ、大ヒットアルバム『MELODIES』にも収録された。

このアルバムにはあの『クリスマス・イブ』も収録されたが、こちらがJR東海のCMに使われ、国民的名曲となるのは5年以上も先のこと。この時点での山下は「夏」のイメージが強かった。タイトルは「高気圧ガール、はりきる」というCMコピーに由来。ただ、高気圧+ガールという組み合わせがやや強引だったため、新聞などに「高血圧ガール」と誤植されたりしていたのを思い出す。

いちばんの聴かせどころは「高気圧ガール」のリフレインだが、その直前に「あぁー」という女性のため息が入るのも印象的だ。12年後、山下はベストアルバムのライナーノーツのなかで、声の主についてこんな告白をした。

「高気圧の溜息は竹内まりやですが、どこの誰と明かしてしまうと夢がなくなってつまらないと思い、今まで黙っていました」

ふたりは82年に結婚。いわば新婚ほやほやの夫婦による合作という、アツアツなナンバーでもあったわけだ。

そんな山下の才能をいち早く見抜き、アルバム『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』を一緒に作るなどして、世に出す手助けをしたのが大瀧詠一。9位(106票)には、大瀧が81年にリリースした『君は天然色』が入った。

同日発売のアルバム『A LONG VACATION』のオープニング曲でもあり、いわゆる「夏うた」の聴かれ方を変えた一曲でもある。というのも、彼がフィル・スペクターに代表されるアメリカンポップスをヒントに編み出した「ナイアガラサウンド」はじつに夏向きだった。

当時の若者はこのアルバムを録音したカセットテープをカーステレオで流しながら海に行き、砂浜でもラジカセで聴きまくったのだ。折しも、貸しレコード業界が急成長中で、アルバムを手軽にダビングできる状況が出現。そんな時代ともシンクロしていた。

大瀧はこのアルバムを音楽人生の勝負作と考え、『はっぴいえんど』以来の盟友である作詞家・松本隆に手伝いを依頼。そうやって生まれたのが『君は天然色』をはじめとする傑作群だった。これにより、彼はマニアックな名伯楽というポジションを抜け出し、ヒットメーカーとして音楽シーンの中心に躍り出る。