移動映画館で日銭を稼ぐ父と思春期の娘の成長譚 ロシア映画『グレース』10月19日公開へ

AI要約

第76回カンヌ国際映画祭監督週間に選出されたロシア映画『Grace』が、日本で公開決定。

作品はロシア辺境を舞台に、思春期の少女の成長譚を描くロードムービー。

監督はロシアによるウクライナ侵攻に反対し、姿勢が作品にも表れる。

移動映画館で日銭を稼ぐ父と思春期の娘の成長譚 ロシア映画『グレース』10月19日公開へ

 第76回カンヌ国際映画祭監督週間に選出されたロシア映画『Grace(英題)』が、『グレース』の邦題で10月19日よりシアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開されることが決定した。

 本作は、息が詰まるような停滞感に覆われたロシア辺境を舞台に、思春期の不安を抱える少女の成長譚を描くロードムービー。第76回カンヌ国際映画祭の監督週間に選出され、その後もサン・セバスティアン国際映画祭をはじめ、数多くの映画祭にノミネートされた。

 監督・脚本を務めたのはロシアでドキュメンタリーを数多く制作していたイリヤ・ポヴォロツキー。ポヴォロツキー自身は、カンヌ国際映画祭の会見でも言及しているように、ロシアによるウクライナ侵攻と政府の方針に対して明確に反対している。彼の関心は、ロシア周縁の人々の暮らしと尊厳を映像の力によって美しく厳かに描き出すことにあり、その確固たる姿勢は初めてのフィクション映画となった本作にも表れている。

 あわせて公開された特報映像は、少しぎこちない娘と父の会話から始まる。ロシア南西部の辺境、乾いた風が吹きつけるコーカサスの険しい山道。無愛想な目をした10代半ばの娘と寡黙な父親は、錆びた赤いキャンピングカーで旅をしながら移動映画館で日銭を稼いでいる。母親の不在が2人の関係に影を落とし、車内には重苦しい沈黙が漂う。

 ティザーポスターには、少女の力強い眼差しが描かれている。

 なお本作は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が本格化する少し前の2021年秋に撮影された。