「“選ばれていない人間”なんだ」父との死別、やっと見つけた事務所でもマネージャーの手伝い…奈緒(29)の上京物語

AI要約

奈緒はドラマや映画で活躍する若手女優で、特に父との関係を描いた作品で視聴者を感動させている。

彼女は福岡出身で芸能界入りし、モデルやリポーターとして活動していたが、演技の道を志すようになった。

奈緒は苦労を乗り越えながらも演技の道を突き進み、今後も注目を集める存在となっている。

「“選ばれていない人間”なんだ」父との死別、やっと見つけた事務所でもマネージャーの手伝い…奈緒(29)の上京物語

 ドラマ『春になったら』(2024年)で、木梨憲武演じる末期がんの父を支える娘を演じた奈緒。死を覚悟した父を時には叱咤し、時には優しく受け止める奈緒の演技が、視聴者に大きな感動を与えたのは記憶に新しい。

 今夏には男女の性の格差をテーマにした映画『先生の白い嘘』で、親友の婚約者(風間俊介)にレイプされる主人公を演じ、秋に公開されるベストセラー小説の映画化『傲慢と善良』でも主演を務める。

 29歳にしてトップ女優へと歩みを進める奈緒だが、ここまでの歩みは順風満帆ばかりではなかった。

 福岡県福岡市生まれ。高校の通学路でスカウトされて、モデル事務所に所属。学生時代は引っ込み思案で目立つタイプではなかったが、芸能の仕事をしたいと思っていた。

「ただ『早く働きたい』と思っていたので、すごく興味はありました。この仕事って、何歳でも関係ないじゃないですか」(AdverTimes. 2020年4月24日)

「早く働きたい」と思っていたのには理由がある。生後7カ月のときに父が亡くなり、母が女手一つできょうだいを育ててくれていたからだ。最初の記憶は父の葬儀のときのものだった(『徹子の部屋』2023年9月28日)。

 反対する母を説得して芸能活動をスタート。モデルやリポーターを務め、ローカル番組『ももち浜ストア プラス』では食レポなどをする自分のコーナーを持っていた。奈緒は自身のことを「福岡で一番下手なリポーター」と振り返っている。

 演技の仕事を志したのは、たまたま受けた芝居のワークショップで衝撃を受けたことがきっかけだった。「『これはなんだろう。分からないことがたくさんある。やりたい!』と思ったら涙が出てきてしまって」(クランクイン! 2019年11月17日)。

 初期衝動に突き動かされ、事務所に「芝居をしたい」と伝えたところ、ワークショップの先生が「あの子は芝居をやらせたほうがいい。彼女もきっとやりたいと思う」と言っていたことを知り、また号泣してしまったという。「私にはお芝居だ」と心が決まった瞬間だった(AdverTimes. 前出)。

 ドラマに端役で出演するようになり、地元から東京に通うようになった。東京では10人以上の多国籍の人たちと一緒にシェアハウスで寝泊まりしていた。上京へと傾く気持ちを後押ししたのは、この時期にドラマ『私は父が嫌いです』(2015年)で共演した瑛太(永山瑛太)だった。