石ノ森先生は何と言った? 人気俳優・宮内洋氏が「アオレンジャー」になった理由

AI要約

宮内洋さんが『秘密戦隊ゴレンジャー』でアオレンジャー役を引き受けた背景や、石ノ森章太郎先生とのやり取りについて紹介。

アカレンジャーとアオレンジャーの関係性が武蔵と小次郎に例えられ、彼らを対等な存在として設定。

宮内洋さんがアオレンジャー役において、美しい立ち姿や颯爽とした動きを通じて存在感を示したことについて。

石ノ森先生は何と言った? 人気俳優・宮内洋氏が「アオレンジャー」になった理由

 1975年放送の特撮番組『秘密戦隊ゴレンジャー』で、2番手である「アオレンジャー」こと「新命明」を演じたのは宮内洋さんです。

 宮内さんといえば、1973年『仮面ライダーV3』の主演であり、すでに子供たちにはお馴染みの顔となっています。一方で、「アカレンジャー」を演じた誠直也さんは、当時無名でした。人気絶頂だった宮内さんが2番手のアオレンジャーを引き受けた理由は、原作者の石ノ森章太郎先生の一声によるものだったのです。

 書籍『仮面ライダー1971~1984 秘蔵写真と初公開資料で蘇る昭和ライダー10人』(講談社)のインタビューによると、宮内さんは『ゴレンジャー』の出演オファーを受けたときに、すでに大人気で3本の番組にレギュラー出演中だったため、空いているスケジュールが週に1日半しかありませんでした。主演は不可能だったために、リーダーであるアカレンジャー以外のメンバーとしてオファーされたのです。

 宮内さんが、リーダーに命令されるポジションの出演を渋っていると、石ノ森先生の事務所に呼び出されます。宮内さんが「チームの中で命令されて動くというのが、とっても引っかかるんです」と本音を伝えると、石ノ森先生は「よし、分かった。俺がホン(この場合設定)を変えよう。リーダーはリーダーでも、サブリーダー的存在にしよう」ということで、「たとえば赤が宮本武蔵となるならば、(中略)それに対して佐々木小次郎と。武蔵と小次郎的な扱いでもって役を作っていくから」と言ったそうです。

 宮内さんは「それではやらせていただきます」と、アオレンジャー役を引き受けます。それからリーダーのアカレンジャーとサブリーダーのアオレンジャーは、石ノ森先生の言葉通り武蔵と小次郎のような対等な扱いになり、なおかつクールな存在として設定されました。

 ムック本『スーパー戦隊誕生40周年 ボクらのスーパー戦隊』に掲載された宮内さんのインタビューによると、他のキャラクターと対比するため、本部のシーンでも立ったまま何もしないことで、視聴者にクールな印象を与えるようにしたそうです。

 石ノ森先生が、宮内さんと話したときに「佐々木小次郎は立ち方が美しい」と話していたこともあり、宮内さんは「新命明のときは立ち姿にいつも気をつけていました」と語っています。

『V3』や『怪傑ズバット』ではダイナミックなアクションが印象に残った宮内さんですが、『ゴレンジャー』の新命明が常に後ろに控えていながらも、なおかつ存在感があったのは、その美しい立ち姿に秘密があったのです。

 アクションでも、アカレンジャーは一刀両断の力強さ、アオレンジャーは歯切れのいい颯爽とした動きで対比されていました。アオレンジャーの活躍もあって『ゴレンジャー』は大成功し、約2年間に渡り放送される人気番組となったのです。