「光る君へ」越前編、福井の大河ドラマ館に追い風…来場者数3割増

AI要約

紫式部が主人公のNHK大河ドラマ「光る君へ」の放送に合わせ、福井県越前市に開設された大河ドラマ館が、来場者数目標に向けて順調に増加中。

11日目に5万人目の来場者を迎え、展示内容の刷新や連携イベントを通じてさらなる誘客を図る市の取り組みに期待が高まっている。

越前編の放送開始を機に来場者数が増加し、入館料600円と手頃な価格設定もあって、広く人気を集めている。

 紫式部が主人公のNHK大河ドラマ「光る君へ」の放送に合わせ、福井県越前市などの大河ドラマ館が市内に開設されて4か月が過ぎた。来場者は、年末までの開館中に市などが目指す25万人の2割超にとどまるものの、5月下旬に越前編が始まったことを受け、6月に入り客足が増加傾向だ。展示内容の刷新も決まっており、関係者は「これからが勝負」と目標達成を誓う。(辰巳昌宏)

 「ここが紫式部ゆかりの地だと初めて知った。映像や出演者の衣装を見て楽しめた」。今月11日、5万人目の来場者となった石川県加賀市の男性(74)と妻(70)は、西川哲司館長から記念品を受け取って喜んだ。

 源氏物語を執筆した紫式部は、越前国で1年余りを過ごしたとされる。そのため、福井県越前市の武生中央公園に2月23日、衣装や小道具などを展示する大河ドラマ館がオープンした。

 11日目の3月4日には1万人を突破。同16日の北陸新幹線県内延伸を受け、最寄りの越前たけふ駅と会場をつなぐシャトルバスが運行されている。ドラマで5月下旬から6月まで紫式部の越前での暮らしが描かれたほか、同16日には主演の吉高由里子さんが市内で開かれたトークショーに、父親役の岸谷五朗さんと登場。「(ドラマ館に)2回でも3回でも行って」とPRした。

 市などでつくる「紫式部プロジェクト推進協議会」が6月に来場者約200人にアンケートを実施すると、7割が県外から訪れており、石川、愛知・岐阜、富山の順に多かった。8割以上がドラマ館に「非常に満足」「満足」と回答。「また行きたい」「機会があれば行きたい」「展示替えがあればまた行きたい」も8割を占めた。

 来場者は2、3月が1万9725人、4月1万1547人、5月1万3107人、6月1~16日が8994人で、目標の25万人の21%にとどまる。市ブランド戦略課の山口雅弘課長は「北陸ではあまりなじみがないドラマ館への誘客活動が弱かったかもしれない」と振り返る。

 客足が伸びる兆しはある。越前編の放送が始まり、6月1~16日の1日平均の来館者が562人で、423人だった5月より32・8%多く、2、3月の519人も上回った。同館はこの勢いを持続させるため、今月28日に展示品の衣装や小道具を入れ替える。「越前編の内容をふんだんに盛り込んだ。ここでしか見られない越前ならではの内容」(山口課長)という。

 他のイベントと連携した誘客も図る。10月4日~11月4日に同じ武生中央公園で恒例イベント「たけふ菊人形」が開催。公園内の市文化センターでは同時期にOSK日本歌劇団の公演があり、ドラマ館との連携企画を検討中だ。紫式部が越前に移り住んだ「紫式部の旅」の再現も10月18~20日に予定される。

 山口課長は「全国から多くの人にドラマ館へ足を運んでもらうことで、越前市の魅力を全国へ発信したい」と意気込む。ドラマ館は12月30日までの午前9時~午後5時(無休)。入館料は大人600円、小中学生200円、未就学児無料。