伊藤健太郎、“汚れ役”が持ち味の俳優に 好青年から悪役まで二面性の見事な演じ分け

AI要約

森本慎太郎が主演する土ドラ10『街並み照らすヤツら』の第8話で、異彩を放つ俳優・伊藤健太郎の存在が際立つ。

光一というキャラクターを演じる伊藤は、様々な作品で異なる役柄をこなし、特に『静かなるドン』では二面性ある演技が光る。

今後も伊藤健太郎の俳優としての活躍に期待が寄せられる一方、『街並み照らすヤツら』の最終話に向けて彼がどんな演技を見せるのかが注目されている。

伊藤健太郎、“汚れ役”が持ち味の俳優に 好青年から悪役まで二面性の見事な演じ分け

 森本慎太郎(SixTONES)が主演を務める日本テレビ系土ドラ10『街並み照らすヤツら』で、ひときわ異彩を放つ俳優がいる。伊藤健太郎だ。

 6月15日に放送された第8話。警察に偽装強盗がバレないよう奔走中の竹野正義(森本慎太郎)は、同じく悪事に手を染めてしまったシャッター商店街のみんなを守るために、誰も捕まらず、警察にも納得してもらえる落としどころを探っていた。

 そんななか、嫌われ者だった商店会の会長・大村一郎(船越英一郎)から、街のことや、商店街のみんなのことが好きで、息子のために何かしてやりたかった、と本音を聞かされる。

 正義は彼の息子であり、仲が良かった同級生・大村光一(伊藤健太郎)と久しぶりに再会。対話を試みるが、彼に父の想いは届いていなかった。「俺はな、親父のことも、この街の住民も、全員嫌いだね」と暴言を吐く光一。彼の心の中には“恨み”という感情が張り付いているのだ。

 保険会社と結託して街の再開発を計画している光一は、商店街をつぶそうと暗躍している。第3話で登場してからずっと不気味で不思議なオーラをまとっていたし、彼を見ていると、私たちの知らない裏で大きな悪事を企んでいるのではないか、と胸がザワザワする……。最終話で、光一がじつはいい人だった、または改心してくれる展開を望むばかりだ。

 光一は、名前に反して目に光がなく、人の温かさすら感じない瞬間が多々ある。伊藤がそんな光一にとにかくハマっている。

 伊藤は2014年に俳優デビュー。2018年に日本テレビでドラマ化、2020年に映画化された『今日から俺は!!』の伊藤真司役、NHK連続テレビ小説『スカーレット』(2019年度後期)の川原武志役などでブレイクした。その後も、ドラマ、映画はもちろん、ラジオ『オールナイトニッポン0(ZERO)』でパーソナリティーを務め、多くのファンを獲得した。

 2020年に事故を起こしたあと活動を中断していたが、2022年に公開された阪本順治監督の映画『冬薔薇』で映画復帰。それまで演じてきた役のイメージが覆るような、ろくでなしの中途半端な男・渡口淳を演じた。「演技がうまい」と言ってしまえば簡単なのだが、舞台となった街に、淳がいるような……そんな物語になじむ演技を見せた。

 さらに話題を集めたのが、2023年に公開された映画『静かなるドン』の近藤静也役だろう。本作は人気漫画が原作。これまでにも何度も実写化された名作である。伊藤が演じた静也は、関東最大規模の暴力団「新鮮組」のひとり息子。しかし、彼自身はヤクザを毛嫌いし、平和に生きることを望んでいた。デザイン会社で働くいまどきの草食系男子だったのにも関わらず、あることをきっかけに、サングラス&白スーツに身を包み、総長としても生きるようになって……。

 昼と夜でまったく違う雰囲気を持つ静也を演じられるのは伊藤しかいない、と思うのは私だけだろうか。なぜなら、俳優デビュー当初、明るい好青年を演じることが多かった伊藤が、復帰後は『静かなるドン』のヤクザ役や『街並み照らすヤツら』の悪役など、いわゆる“汚れ役”が板についている。伊藤が“これまで”俳優として培ってきたものが、二面性ある静也の役柄で、いかんなく発揮されているのだ。

 陰と陽のどちらの役も演じられる伊藤が、俳優としてどんな道を歩んでいくのか。そして、最終話に向けてさらに面白くなっていく『街並み照らすヤツら』では、どんな活躍を見せてくれるのか。今後も、好青年もスーツ姿の悪役も演じられる俳優・伊藤健太郎を見守っていきたい。