「浮気が発覚するたびに、心がチクチク痛んだ」安藤和津「何度も離婚を考えた」が決断に至らなかった「大きな理由」

AI要約

安藤和津さんは、夫の浮気や借金に悩まされながらも離婚を選ばずに45年の結婚生活を送ってきた。夫に対しては許容し続けたが、幸福な家庭像を守るために無理をしていた。現在は過去の苦しみを笑い話にできるほど、心のキャパを広げたと振り返っている。

夫の認知症になった場合、別の老人ホームに入れるように娘たちに頼んでいる。自分の心のキャパを広げることの重要性を説いている。

「浮気が発覚するたびに、心がチクチク痛んだ」安藤和津「何度も離婚を考えた」が決断に至らなかった「大きな理由」

夫・奥田瑛二さんの度重なる浮気や借金に長年悩まされながらも、それでも離婚は選ばなかった安藤和津さん。波乱万丈な45年の結婚生活を振り返って今思うこととは?(全4回中の2回)

■「お母さん、そんなにつらい思いをしていたの?」

── 過去に、家から下着姿の女性が侵入しても「『また夫の恋人か』と思ったので放っておいて寝てしまった」こともあったと伺いました。度重なる浮気騒動を安藤さんが「許せた」のはなぜでしょう?

安藤さん:許していたわけでは決してないんです。浮気が発覚するたびに、心がチクチク痛んだし、一日中ため息ばかりついていました。2回、3回と同じようなことが繰り返されると、「またかい。じゃあ闘ってやろうじゃないか!」という気持ちになっていた時期もあったような気がします。

ただ、私としては「あなたが出て行きたいのなら、いつでもあちらへどうぞ」とは夫に毎回はっきりと伝えていましたね。愛がない人と生活を共にするのなんて、嫌ですから。

それに浮気が発覚するたびに夫を突っついて夫婦の仲がギクシャクしたら、家庭の雰囲気も暗くなって子どもたちも傷ついてしまう。だから私が無理をしていた、というのが実情ですね。もっと言うと、幼い頃からずっと夢見ていた“幸福な食卓”の家庭像が離婚によって消えてしまうことが怖かったんだと思います。

── 結婚生活が45年目に突入した今は、もう昔のことを振り返っても胸は痛みませんか。

安藤さん:今はもう全然なんとも思っていません。過去に書いたエッセイ『愛すること 愛されること』では、当時の葛藤やつらさも綴っていますが、最近はふと思い出したときに「そういえばあんなこともあったわね」と奥田に笑いながら愚痴っては、「どうしてそういうことをいまだにしつこく覚えているんだよ」と嫌な顔をされるくらいです(笑)。

人間って自分のことだって理解できないのに、夫のことを理解できるわけないでしょ?だから相手を受け入れる自分の心のキャパを広げていかなきゃならない。

私は少しずつキャパを広げていったんだと思います。

でもね、私は娘たち(映画監督の安藤桃子さん、俳優の安藤サクラさん)に、「もしも私が認知症になって家族の顔もわからなくなってしまったら、じいじ(=夫)とは別の老人ホームに入れてね。別の施設が無理ならせめて部屋は別々にしてね」と頼んでいるんです。