前田美波里、菊田一夫さんの「舞台は10年やって1年生」初心忘れず芸歴60年「やっと6年生」

AI要約

ミュージカル界で活躍する前田美波里が第49回菊田一夫演劇賞特別賞を受賞し、授賞式に出席。

前田の功績と菊田一夫への感謝のスピーチが印象的。

前田は舞台愛を示し、まだまだ舞台で活躍したいと語った。

前田美波里、菊田一夫さんの「舞台は10年やって1年生」初心忘れず芸歴60年「やっと6年生」

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

 ミュージカル界で活躍する前田美波里(75)が「第49回菊田一夫演劇賞」特別賞を受賞し、このほど授賞式に出席した。

 長年のミュージカル舞台における功績をたたえられたもので、「コーラスライン」「風と共に去りぬ」「レ・ミゼラブル」「Endless Shock」など、幅広い世代が活躍を知る。授賞式での凜(りん)とした姿とスピーチがとても印象に残った。

 前田は、菊田さんに見いだされて舞台の世界に入った経緯を振り返った。バレエに打ち込む高校生のころだったという。初めてのオーディションで合格し名乗ると、そんな小さな声じゃ舞台人になれないぞと言われたそうだ。最初に菊田さんに言われた指摘が前田の基本にあるのか、よく響く声、言葉の1つ1つがしっかりと聞く者に届く話し方は、スピーチでも感じた。

 菊田さんには「10年やって1年生だと思わなくちゃ、舞台はやっていけないよ」と言われたことがあるという。前田は芸歴60年を迎えたとし、「やっと6年生なんです」と初心を忘れない気持ちだとした。

 別の受賞者が、舞台の上で死にたい、と言ったことを引き合いに、前田は「私も舞台の上で死にたい気持ちでおります」と、深い舞台愛を示した。

 さらに「もう少し私、生きたいと思います。もう少し頑張って、あとせめて20年。いいじゃいませんか。ヨボヨボになっても、そんな役を演出家の方たちたくさんいらっしゃいますからどうぞ書いて、私に声をかけてくださいませ。いくつでもいいです」と、笑顔で話した。

 授賞式のステージには菊田さんの写真が飾られており、菊田さんが見ているような雰囲気。いつも以上に背筋がピンと伸びた前田の姿がすてきだったし、舞台での活躍をもっと見たいと思った。【小林千穂】