父の想いに涙…漫画に登場する「不仲だった父子が和解した感動シーン」3選

AI要約

漫画の世界で不和な父子が和解する名作漫画を紹介。『美味しんぼ』の士郎と雄山、『鋼の錬金術師』のエドワードとヴァン・ホーエンハイムの親子関係に焦点を当てる。

『美味しんぼ』では士郎の結婚をきっかけに父子の仲が改善し、感動的な絆が描かれる。

『鋼の錬金術師』ではエドワードが父の真意を理解し、最終的に親子の間に葛藤と愛情が描かれる。

父の想いに涙…漫画に登場する「不仲だった父子が和解した感動シーン」3選

 本日6月16日は「父の日」だ。いつも家族のために奮闘しているお父さんに「ありがとう」を伝えるにはもってこいの日だ。

 一方、漫画の世界の父と子は感謝どころか、いがみ合う例が多い。コミュニケーションがうまく取れていなかったり、互いの信念や立場が相容れなかったり、分かり合えない父子の対立は定番のドラマといえる。

 今回は「父の日」にちなんで、そんな不仲父子が見事に和解した名作漫画を紹介しよう。

 仲の悪い父子キャラの大定番といえば、料理バトル漫画の金字塔『美味しんぼ』(原作:雁屋哲氏、作画:花咲アキラ氏)の主人公、山岡士郎とその父親の海原雄山だろう。

 お互いに「究極のメニュー」と「至高のメニュー」を掲げ、より素晴らしい料理を競い合う2人。病死した母親を雄山が大切にしなかった、という士郎のトラウマに端を発する父子の仲は、連載期間にして20年以上も険悪なままだった。

 そんな2人が和解に動き出したのは、士郎の結婚がきっかけだ。士郎の披露宴で雄山が妻への大事な思いを語ったり、父親になった士郎が厳しくも熱心に育ててくれた雄山の心を実感したりと、ゆっくりながらも父と子は歩み寄る。

 和解の流れで筆者が好きなのが、意識不明の重体となった雄山のもとへ士郎がお見舞いに行くシーンだ。過去の憎しみと父を尊敬している本心がぶつかり合うも、最後は「おやじ…」とぼそりと声をかける士郎。そして、雄山は意識を取り戻す。父子の絆を美しく描いた、本作有数の名シーンだと思う。

 そして単行本102巻で行われた最後の料理対決を経て、士郎と雄山は真の和解を果たす。士郎の母・とし子の写真と一緒にワインを飲みかわす“家族団らん”は、漫画史に残る父子和解の瞬間といえるだろう。

 次は、ダークファンタジー漫画の大ヒットタイトル『鋼の錬金術師』(荒川弘氏)から、主人公のエドワード・エルリックと父親のヴァン・ホーエンハイムを見てみよう。

 エドワードは、自分と弟・アルフォンスが小さい頃に家出したホーエンハイムを嫌っていた。母・トリシャが病死したのはホーエンハイムがそばにいてくれなかったからだと考え、再会しても「親父」と呼ぶことすら拒絶する嫌いぶりだ。

 だが、ホーエンハイムは家族を深く愛していた。家を出た理由も、アメストリス国そのものを揺るがす陰謀を食い止めるためであり、ひいては家族の命を守るためであった。

 最初は父親を信用しなかったエドワードだが、交流を経てその真意を知るようになり、長年の憎しみを少しずつ和らげていく。普段はクールな印象のエドワードが父親には頑固になってしまう姿は年相応の少年らしく、ちょっとかわいい。

 父と子のわだかまりが解けきったのは最終話のことだ。アルフォンスが「真理の扉」に囚われてしまい、取り戻すにはひとり分の命を差し出すしかない状況にエドワードは追い詰められてしまう。

 そしてホーエンハイムの「自分の命を使え」という決死の提案にエドワードは、「バカ言ってんじゃねぇよクソ親父!!」と、涙ながらに怒鳴り返すのだ。自分たち家族を思うホーエンハイムの気持ちは本物だと、ついにエドワードが認めた瞬間であろう。

 何年も離れ離れになっていた親子でも、愛する気持ちが残っていればやり直せる……そんな温かな気持ちにさせてくれるワンシーンだ。