佐渡金山の世界遺産登録持ち越しに落胆の声…「ハードルはクリア」「理由を知りたい」

AI要約

国が国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産の登録を推薦する「佐渡島(さど)の金山」について、ユネスコの諮問機関・国際記念物遺跡会議(イコモス)は追加情報の提出を求める勧告を出した。

地元の人々からは登録に向けての取り組みに関する声が上がり、政府も対応を進める方針となった。

佐渡島の金山は歴史的な価値を持ちながらも、登録に関する諸問題が存在し、課題が残る状況となっている。

 国が国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産の登録を推薦している「佐渡島(さど)の金山」(新潟県佐渡市)について、ユネスコの諮問機関・国際記念物遺跡会議(イコモス)は6日、追加情報の提出を求める「情報照会」を勧告した。文化庁は7月の世界遺産委員会で登録するよう対応する方針。佐渡の人たちからは「ハードルはクリアした」「登録とならなかったのは残念」などの声が上がった。

 普及啓発などで後押ししてきた民間団体「佐渡を世界遺産にする会」会長の中野洸さん(83)は「結果は残念だが、(イコモスの勧告という)第1ハードルはクリアした。7月の世界遺産委員会で登録してもらえるよう、政府を挙げて頑張ってもらいたい」と話した。

 同会の副会長で、「史跡佐渡金山」の管理運営を担う「ゴールデン佐渡」社長の鈴木徹さん(62)は「一番上の評価でなかったのは残念」と述べた。

 世界遺産登録に向け、地元では勉強会を開くなど、準備を進めてきた。草刈りや勉強会などに取り組む「鶴子(つるし)銀山へ続く道を歩こう」の佐々木弘喜代表(67)は「いつか世界遺産にと長年活動を続けている。スムーズに登録されると思っていた」と肩を落とした。

 佐渡島で最古の砂金山があった笹川集落で「笹川の景観を守る会」の会長を務める金子一雄さん(64)は「なぜ『登録』とならなかったのか、理由を知りたい」と語った。

 文化庁は、7月にインドで開かれる世界遺産委員会での登録を目指して対応する方針だ。鈴木さんは「7月の最終結果では良い決定が出るのを願っている」と述べた。

 佐渡島の金山は、江戸幕府管理の下、ヨーロッパとは異なる大規模な金生産システムを発展させたなどとして地元が登録を求めてきた。政府は2022年2月に世界遺産登録を目指して推薦書を提出したものの、ユネスコから不備を指摘されたため、23年1月に正式に推薦書を提出。23年8月にイコモスの現地調査が行われた。一方で、韓国が登録に反発している。