輪島の仮設住宅で70代女性が孤独死、別自治体の家族は同居できず…石川県は柔軟に認めるよう通知

AI要約

石川県輪島市の孤独死事件を受け、県は家族での入居を柔軟に認める通知を各市町に出した。

被災地の復旧が進まず、孤独死対策など新たな課題に県や市町が直面している。

県は入居条件や安全対策の見直しを行い、被災地の住民が安心して生活できる環境を整える方針を示した。

 石川県輪島市の仮設住宅で一人暮らしの高齢女性が孤独死したことを受け、県は31日、被災前の住所にかかわらず、家族での入居を柔軟に認めるよう、各市町に通知した。1日で能登半島地震の発生から5か月がたつ被災地の復旧は道半ばで、県や市町は孤独死対策を含む新たな課題への対応を迫られている。

 県によると、仮設住宅の希望戸数の取りまとめなどは市町が担い、被災者が住めるのは住所地に限られるのが実態だ。5月中旬に孤独死した輪島市の70歳代女性には別の被災自治体に住む家族がいたが、自治体の判断で同居できず、別々の仮設住宅に入ったという。

 県は今回の事態を踏まえた31日の通知で、再発防止に向けた対策として、「入居が決定した家族が別居する一人暮らしの家族との同居を希望する場合は同居を認める」と明記した。

 また、仮設住宅の入り口の引き戸にある内鍵について、本人や家族の希望があれば撤去することも決めた。宅内にいる入居者と連絡が取れないケースなど、家族や管理者が入る必要がある場合に、迅速に対応できるようにする狙いがある。

 地震による被害の大きかった奥能登地域では、全半壊した家屋の解体もほとんどが未着手のままだ。復旧作業の迅速化に加え、高齢被災者の見守りや避難所の熱中症対策が課題となっており、馳知事は同日、「被災地の住民に希望を持っていただくため、あらゆる取り組みをしたい」と決意を述べた。