日韓、レーダー照射巡り再発防止が焦点 防衛相会談を調整、シャングリラ対話開幕

AI要約

木原防衛相がシンガポール入りし、アジア安全保障会議に出席。韓国との防衛相会談を調整し、海上自衛隊機への火器管制レーダー照射問題に焦点。

シャングリラ対話で法の支配や自由な国際秩序の重要性を訴え、アジアの安全保障問題に関する議論を行う。

日韓関係が悪化したレーダー照射問題について、再発防止策を合意し関係改善に取り組む方針。

【シンガポール=小沢慶太】木原稔防衛相は31日、アジア各国の防衛担当閣僚らが地域情勢を議論するアジア安全保障会議(シャングリラ対話)に出席するためシンガポール入りした。6月2日までの期間中、昨年6月以来となる韓国との防衛相会談を調整している。韓国海軍による海上自衛隊機への火器管制レーダー照射問題を巡り、再発防止策に合意し、冷え込んでいる防衛当局間の関係改善に踏み出すかが焦点となる。

「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜く重要性を訴えたい」。木原氏は出発に先立つ記者会見でこう強調した。シャングリラ対話は約40カ国が参加し、台湾や東・南シナ海、北朝鮮などアジアの安全保障を巡る問題などについて議論する。木原氏は6月1日に講演する。

会議に合わせて米国や中国など5カ国以上と防衛相会談を予定するが、注目は1年ぶりとなる日韓防衛相会談だ。実現すれば木原氏と韓国の申源湜国防相は初の対面での会談となる。

2018年に起きたレーダー照射問題で、日韓防衛当局間の関係は一気に悪化した。日本側は韓国海軍の駆逐艦が海自哨戒機に射撃の狙いをつけるレーダーを照射したと主張する一方、韓国側は照射を否定した。

双方の主張が対立するまま、約4年ぶりに開催された昨年6月の日韓防衛相会談では事実解明を棚上げし、類似事案の再発防止に向けた協議を加速することで一致した。

日韓を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、日本としては、関係が良好な韓国の尹錫悦政権下で、懸案に一定の区切りをつけて防衛協力の強化にかじを切りたい考えだ。酒井良海上幕僚長は28日の記者会見で「早期にこの問題を乗り越えて日韓防衛当局の連携を深めることが必要だ」と強調した。

しかし、韓国側が照射の事実を認めないままでは、自衛隊と韓国軍の信頼関係構築は困難との指摘も自民党内などで根強い。曖昧な決着では不満が噴出する可能性があり、木原氏は難しい判断を迫られる。