陸自の手りゅう弾事故 死亡の29歳3等陸曹は訓練の指導役

AI要約

30日午前8時40分ごろ、陸上自衛隊北富士演習場で手りゅう弾の破片が隊員1人に当たり、29歳の山宮拓3等陸曹が死亡。

事故を受けて陸自は全ての実弾訓練を一時中止し、安全確認を行うことに。

手りゅう弾による隊員の死亡事例としては、1958年以来の出来事。

陸自の手りゅう弾事故 死亡の29歳3等陸曹は訓練の指導役

 30日午前8時40分ごろ、陸上自衛隊北富士演習場(山梨県)で訓練中に手りゅう弾の破片が隊員1人に当たった。陸自によると、隊員は第1師団第1普通科連隊(東京都練馬区)所属の山宮拓3等陸曹(29)で、救急搬送されたが、同10時50分に病院で死亡が確認された。

 これを受け、陸自は全部隊に対して安全確認ができるまでの間、全ての実弾訓練を一時中止するよう指示した。

 陸自によると、同連隊は27~31日の日程で、射撃能力を向上させることを目的に、迫撃砲や対人狙撃銃などの各種火器を用いて249人で野営訓練を実施していた。このうち手りゅう弾の訓練には23人が参加。1人が7回ずつ投げ、1回ごとに高さ約1メートルの防護壁に隠れて身を守る訓練だった。

 30日は午前8時半に訓練を開始した。別の隊員が4回目を投てきした際、隣にいた指導役の山宮3曹の首に飛び散った破片が当たった。他にけがをした隊員はいなかった。手りゅう弾は約30メートル先の目標に投げられ、正常に作動していたという。

 陸自トップの森下泰臣陸上幕僚長は30日の定例記者会見で、「武器を扱う組織として決してあってはならない。重く受け止めている」と述べた。陸自の警務隊が訓練に参加した隊員から事情を聴くなどして当時の詳しい状況を捜査している。第1師団の上級部隊の東部方面隊に事故調査委員会を立ち上げ、原因究明を進めていく。破片が何かに当たった可能性はあるものの山宮3曹が適切に身を隠せる状況にあったかが焦点になりそうだ。

 手りゅう弾による隊員の死亡事例としては、1958年5月、福岡県久留米市の幹部候補生学校の教育中に起きた記録が残っている。【松浦吉剛】