国際NGO調査で90%が「リユース容器をまた使いたい」、企業に導入を提言

AI要約

グリーンピース・ジャパンはマイボトル・タンブラーを所持する1000人に意識調査を実施し、テイクアウトでの使用割合が低いことや返却式リユースカップの認知度が低いことが明らかになった。

国際プラスチック条約の策定に向けて、使い捨てプラスチックに依存したライフスタイルからの転換が重要であり、リユースの推進が有効な施策であることが指摘されている。

グリーンピース・ジャパンの調査結果から、マイボトル・タンブラーの利用状況やリユース容器のニーズが明らかになり、企業に対するリユース目標の設定やリユース連合の立ち上げが提言されている。

グリーンピース・ジャパンは5月に、マイボトル・タンブラーを所持する1000人にオンラインで意識調査を実施した。所持する人の大半はお茶や水を入れる用途が大半で、テイクアウトで使用する割合は低いことが明らかになった。一方で、返却式リユースカップについては認知度が30%台と低めだが、利用した人の90%以上は「また使いたい」と回答。同NGOは返却式リユース容器がマイボトルのデメリット解消につながるとし、企業に対しリユース容器での販売割合を示す「リユース目標」の設定・公表を提言した。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)

国際プラスチック条約策定に向けて大詰めを迎える。今年11月末に詰めの交渉を行い、来年締結を目指す。プラスチック生産を制限するかが論点となるが、使い捨てプラスチックに依存したライフスタイルをどう転換していくかも重要なポイントだ。リユースの推進はこのポイントに対して有効な施策となる。

一方で、企業がリユースの仕組みに導入することに対して、マイタンブラーの利用推進との重複を懸念する声があった。コストをかけてリユースの仕組みを導入するよりも、マイタンブラー導入を推進する声もあった。

しかし、今回のグリーンピース・ジャパンの調査で、マイボトル・タンブラー所持者の用途がお茶や水の用途に使用されテイクアウトでの使用割合が低いことや、持ち歩きが浸透していないことなどが浮き彫りになった。

56.4%がマイボトル・タンブラーを「2本以上持っている」と回答したが、3人に1人(33.2%)はほぼ持ち歩かず、毎日持ち歩いている人は25.1%だった。

持ち歩く人の用途はお茶、水が50%前後と高い。すでにお茶や水でマイボトル・タンブラーを使用しており、かつ持ち歩くのは1本というのがほとんどだ。テイクアウトをしようとすると、使い吸い容器で持ち歩くしかなくなる。マイボトル・タンブラーの拡大だけでは、使い捨て容器が削減しにくい実情を示している。

こういった課題を解決するうえで、着目したのがリユース容器だ。企業や店舗がリユース容器を貸し出して、回収や洗浄まで行う。

リユース容器は一部のカフェなどで導入されているが、認知度はまだ低い。今回の調査でも「仕組みについて知っている」と答えた人は35.2%、そのなかで利用したことがあると答えた人は34.7%で、全体の回答者のなかで約10人に1人の割合だった。

一方で、ニーズは高い。使用したことがある人の92.6%は「また使用したい」と回答。その理由には「使い捨てごみを出さず、環境にとってもより良いから」と環境を意識した理由や、「保温(保温)機能が良かったから」といった機能面での評価が並んだ。

グリーンピース・ジャパンはこれらの調査結果を踏まえ、企業に対し使い捨て容器の総量削減目標やリユース容器で販売する割合「リユース目標」の設定・公表、導入拡大に向けて業界やチェーンの壁を越えた連携やNGOや専門家も交えた「リユース連合」の立ち上げを提言した。