尖閣周辺に中国海警船、157日連続確認で最長に並ぶ 大型化と操船技術向上「侮れない」

AI要約

尖閣諸島周辺で中国海警局の船舶が領海外側で活動を続け、過去最長の連続日数に達したことが報告されている。船舶の大型化や常駐化が進み、中国の管轄権拡大を懸念する声も挙がっている。

海警船が領海内で日本漁船や海洋調査船に近づいて執拗に追尾する事例が増加しており、領海侵入の連続時間も増加。中国の海警局は武装警察部隊に組み入れられ、海軍化が進んでいる。

中国海警船の活動は自らの位置情報を発信するなど広くアピールされる傾向もあり、日本の海上保安庁は警戒を強める必要があるとされている。

尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海外側にある接続水域で26日、中国海警局の船4隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認した。中国当局の船が確認されるのは157日連続で、平成24(2012)年9月の尖閣諸島国有化以降、過去最長の連続日数に並んだ。27日に最長を更新する見込みだ。海警船の大型化が進み、天候に左右されず航行が可能になったのが要因だが、中国側は海警船の常駐で管轄権の既成事実化を企図しているとされ、専門家は「中国の体制強化に後れを取ってはいけない」と危惧する。

■魚釣島と大正島の接続水域内を航行

関係者によると、尖閣周辺で航行が確認された「海警2501」(5千トン級)は大型の76ミリ砲を搭載しているとみられる。「056型コルベット」(江島型近海用護衛艦)など中国海軍の軍艦を改修した転用船も増加している。

産経新聞は船舶自動識別装置(AIS)を搭載した船舶の運航情報などを提供するサイト「グローバル・フィッシング・ウオッチ」(GFW)のデータを基に尖閣周辺の海警船の動きを分析した。4隻が2グループに分かれ、魚釣島と大正島の接続水域内を2隻で航行していることが判明。毎月1日に別のグループに交代し、上海などの母港に帰港していた。

昨年3月以降は、自らの位置情報を発信するAISを作動させながら航行。尖閣周辺の航行を広くアピールし、実績作りを狙っている可能性が指摘されている。ただ「海警1303」と「海警1401」は今年3月、AISを作動させず航行していたことも分かった。

■日本漁船に近づいて執拗に追尾

海警船が領海内で操業する日本漁船に近づいて執拗に追尾するケースも目立ち、それに伴い領海への連続侵入時間も増加の一途をたどっている。

4月下旬、石垣市の海洋調査船に海警船がわずか約1キロの至近距離に接近。今月中旬には魚釣島の北東約120キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内で海洋調査を行っていた海保の測量船「平洋」を執拗に追尾した。

海警局は2013年、海保と同じ法執行機関として設立されたが、18年に中央軍事委員会の指導を受ける武装警察部隊に組み入れられ、事実上の「第2海軍」化が進む。