先輩に怒鳴り散らされ水飲み禁止、衝撃のスパルタ応援練習は今 「今の生徒は強制しても…」高校の女子団長が感じる変化の兆し

AI要約

長野県内の一部高校で行われている伝統的な応援練習に変化が生まれている。昔のように厳しい指導から見直され、新型コロナの影響もあり中断や縮小する学校も出てきている。

入学直後の1年生が上級生から校歌や応援歌を教わるこの恒例行事の在り方も変化しており、生徒主導の伝統を守りつつ、新たな形で継承しようと模索されている。

記事では特定の学校の応援練習が取り上げられ、生徒たちがどのように練習に取り組んでいるか、伝統の重要性についても触れられている。

先輩に怒鳴り散らされ水飲み禁止、衝撃のスパルタ応援練習は今 「今の生徒は強制しても…」高校の女子団長が感じる変化の兆し

 長野県内の一部高校で入学直後の1年生に上級生が校歌や応援歌を教える恒例行事「応援練習」に変化が生まれている。かつては1、2週間かけて厳しい指導が行われることが多かったが、時代とともに見直しが進み、さらに新型コロナの流行を機に中断、縮小する学校も目立つようになってきた。生徒が校内で集い、そろって歌う機会が減った今、生徒主導の伝統をどう守り、つなごうとしているか。学校現場を訪ねた。(中村真希子)

 「おまえらの声量はこんなもんか!?」「恥を捨てて腹から声を出してみろ!!」―。

 4月中旬、長野県松本市の県立松本県ケ丘高校の校庭に応援団員の大きな声が響いた。同校の応援練習は放課後、新入生が教室から校庭まで走って来るところから始まる。

 整列し静まりかえった中、団員のたたく太鼓が鳴り、団長の山崎真結(まゆ)さん、副団長の市川達大(たつひろ)さんの3年生2人が登場。1年生は2人のげきに「ハイッ」と返しながら腕を上下させる所作を繰り返し、校歌と応援歌を40分間歌い続けた。

 1年生はいきなりこの場に立ったわけではない。3月の入学説明会で応援練習の説明を受け、校歌と9曲の応援歌を覚えるよう言い渡された。スマートフォンなどから音源を聞いて準備。練習を行う前の週からは毎朝15分間、各クラスを訪れる団員から指導を受けた。それらを経て4日間の“本番”に臨んだ。

 地元で「縣陵(けんりょう)」と呼ばれる同校。応援団(生徒会組織としては応援委員会)は、戦後間もない1949(昭和24)年ごろ発足した。応援練習はさらにさかのぼる戦前の旧制中学時代からあり、多くの卒業生や在校生が経験してきた。団員は学ランに赤い鉢巻き姿。正副団長は、さらに高げたを履く。

 「今もこんなふうに続いているとは…」。30年ほど前に別の高校に入学し、全員参加で先輩に怒鳴り散らされるスパルタ応援練習を経験した記者は率直に驚いた。1年生から「今どきこんなことするのか」と反発を受けないか、相当な苦労やプレッシャーがある団員のなり手はいるのか―と疑問が湧いた。実際、同校でも3年生は2人だけ。今回は2年生7人を含む9人で新入生約320人を束ねていた。