推し活グッズ「アクスタ」業界を救ったのは…8年で売り上げ5倍

AI要約

新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行され、アクリルスタンドがブームとなっている。アクスタは持ち運びや製作の手軽さが人気の秘密であり、新たなアクスタ関連アイテムも登場している。

アクリル業界は新型コロナにより打撃を受けたが、アクリルパーティションの需要で立ち直り、現在は右肩上がりの注文量を記録している。ユーザーのクリエイティブな発想により、さまざまな形のアクスタが生まれ続けている。

アクスタ関連アイテムの新商品として「推し撮リング」が登場し、推しと一緒に飲み物や景色を撮影できる。他にも使われなくなったアクリルパーティションを再利用した取り組みも行われている。

推し活グッズ「アクスタ」業界を救ったのは…8年で売り上げ5倍

 新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行されて今月に1年を迎えた。一時ピンチに陥った「アクリルスタンド」は今、ブームの最高潮を迎えている。アクリル板にキャラクターやタレントなどをプリントし、台座に刺して飾るアクリルスタンド。アクリルグッズ注文サイト「アクリルグッズの達人」を運営する株式会社BeBlockの代表取締役・松村祐輔氏は「市場は右肩上がり」と話す。

 通称”アクスタ“と呼ばれるそれは、アニメグッズやタレントグッズ、個人的に自身が描いたキャラクターや飼っているペットのグッズを作って楽しむなど様々な界隈(かいわい)で人気となり、今やブームを飛び越え、”推し活グッズ“として完全に市民権を得た。

 プリントビジネスをやってきた同社では15年頃から一商品としてアクリルグッズを手がけている。「あれよあれよと売れ始めた」ため、16年秋からアクリルグッズ専門注文サイトとして独立させた。同社のアクリルグッズ製作の売り上げは16年当初と比べ、5倍ほどに膨れているという。同社全体の売り上げで見てもアクリルグッズ製作が約3割を締め、商品別にしてもアクスタが「一番の稼ぎ頭」だ。

 なぜ、アクスタはこんなにも人気になったのか。松村氏は「私なりの仮説ですが」と前置きの上で、「扱いやすさ」をあげた。ひとつは、ユーザー側の「持ち運びも便利で、飾るのにも場所をとらない」というお手軽さ。

 そしてもうひとつは、製作側の「扱いやすさ」。アクスタはユーザーが製作者になりやすい。「従来のフィギュア製作は初期ロットを考えると様々なデータをとったり素人が注文できるような金額設定にはならないが、アクリルスタンドだと少ロットから注文を受けることが可能。個人グッズでも版元の公式グッズなども『まずはためしに』ということが可能になる。そこがユーザーに支持を受けたきっかけなのかなと思います」。

 一方、”アクスタ“業界は新型コロナが直撃した業界でもあった。イベントがなくなり、インバウンド需要もなくなった20年の春には同社のアクリルグッズの売り上げは「半分になった」という。その業界を救ったのが「アクリルパーティション」だった。当時取り合いになったアクリルを仕入れるルートを持っていた同社は千単位の注文を受け続け、「蒸発した売り上げをパーティションで埋め、社員の雇用を守った」のだ。

 そして今、「右肩上がり」だというアクスタの注文。「より立体的にしたり、何枚か重ねたり、いろんな人が手軽にクリエイティブな発想で様々な形を考案し、楽しみが広がっている。極論スマホ写真からでもオーダーできるような手軽さのかけ算でこれからもたくさんのアクスタが生まれると思います」。ユーザーの様々な発想で世界が広がっていく。(瀬戸 花音)

 ★株式会社BeBlockがおすすめするアクスタ関連の新アイテムは「推し撮リング」。推しのアクスタを指輪状の同アイテムに刺し、装着できる。その手で飲み物のカップなどを持つことによって、推しと飲み物と景色すべて一緒に撮影でき、映えを狙える。

 〇…アクスタ関連の取り組みとして、印刷工房「HappyPrinters」では使われなくなったアクリルパーティションでアクリルグッズを作製する取り組みを行っている。同工房で働く杉原彩子さんは「パーティションで使われているアクリルは質のいいものが多く、厚さもグッズにむいています。もったいないなという思いからこのプロジェクトを始めました」と話した。