動画撮影後「家が消え、車は流された」 輪島・塚田川の氾濫映像

AI要約

石川県の能登半島北部を襲った豪雨で、複数の住宅が濁流や土砂に流され、男女4人が行方不明になっている状況が報告された。

地元の住民が塚田川の氾濫を記録した動画から、住宅の損壊や乗用車が川に流される様子が目撃され、現地の緊急事態が明らかになった。

現在も土砂崩れが相次ぎ、女性が周囲の状況を撮影しながら、建物の倒壊や道路の寸断など恐るべき被害の様子が伝えられている。

動画撮影後「家が消え、車は流された」 輪島・塚田川の氾濫映像

 石川県の能登半島北部を襲った豪雨で、毎日新聞は輪島市久手川(ふてがわ)町の塚田川が氾濫している状況を記録した動画を入手した。周辺では複数の住宅が濁流や土砂に流され、中学3年の喜三(きそ)翼音(はのん)さん(14)ら男女4人が行方不明になっている。

 動画を撮ったのはこの地区で暮らす女性(59)。21日午前9時半ごろ、自宅2階のベランダから塚田川やその一帯の状況を撮影した。

 女性によると、21日は午前5時過ぎから雨が強くなった。茶色く濁った川の流れはみるみる勢いを増し、「ゴーッ」という地鳴りのようなごう音が響いていた。「恐怖で眠れなかった」という。

 午前9時過ぎだった。今度は「バキバキ」と物が割れるような気味の悪い音が聞こえ出したため、再びベランダから外の様子を見渡すと、塚田川沿いにある住宅の納屋が土砂で潰れていた。間もなく、自身のスマートフォンで自宅周辺の状況を撮影した。

 動画撮影から約1時間後、近くにあったはずの2棟の住宅が消えていた。塚田川の氾濫で一帯には泥水や土砂が流れ込み、この住宅は流されたとみられる。乗用車が川に流される様子も目撃した。

 女性は「道路も土砂で寸断され、周囲では今も土砂崩れが相次いでいる。かろうじて建っている家も崩れてしまいそうだ」と嘆いた。【中田敦子】