衆院選へ政権担当能力競う 自民総裁選を意識 立民代表選スタート〔深層探訪〕
立憲民主党の代表選が7日スタートし、次期衆院選での政権交代を目指す4人の候補者が政策を共有している。
代表選公開討論会では各候補者が政権担当能力をアピールし、立民内での対抗心も表れている。
立民内での出馬協議が締め切り直前にも行われ、懸念されていた選挙の新鮮味不足に対処した。
立憲民主党の代表選が7日スタートした。自民党に派閥裏金事件で逆風が吹く中、次期衆院選での政権交代を目指した争い。ただ、4人が掲げる政策は、選択的夫婦別姓の実現や企業・団体献金の禁止などが共通し、大きな違いはみられない。同時に行われる自民党総裁選に対抗し、代表選を通じて立民の政権担当能力を訴えたい考えだ。
◇千載一遇
7日午後の日本記者クラブでの公開討論会で、4氏は「めったにない政権を取れる千載一遇のチャンスだ」(野田佳彦元首相)、「政権を担う」(泉健太代表)などと、次期衆院選での政権交代に言及した。
「党創業者」の枝野幸男前代表は、こだわっていた「原発ゼロ」について「誤解を与えかねない表現」と発言。裏金事件を受けて自民から離れた中道・保守層をターゲットに現実路線を鮮明にした格好だ。
旧民主党政権については、安倍晋三元首相が「悪夢」などと批判。政権運営が混乱したことから有権者の懸念払拭が課題だ。民主党政権3人目の首相を務めた野田氏は「プーチン(ロシア大統領)ともかつては議論した。そうした経験値を生かす」と述べ、外交を含めた政権担当能力を訴えた。
◇対抗心あらわ
自民党総裁選では、小泉進次郎元環境相らが「刷新感」を競い合うのに対し、立民内では「安定感」を求める空気がある。こうした党内世論は現代表でありながら、泉氏の推薦人確保を難航させる要因となった。
泉氏は野田、枝野両氏を念頭に、「いつまでも過去の経験、実績を繰り返していては次の世代も伸びてこない」と述べ、代表再選に強い意欲を示した。
「『政権交代前夜』と言っていただけるまで、(党勢を)回復させた」とも強調。あえて、野田氏の代表選のキャッチフレーズ「政権交代前夜」を用いて対抗心をあらわにする場面もあった。
◇締め切り1分前
立民内には、現代表と前代表、元首相の三つどもえでは新鮮味に欠け、自民総裁選に埋没しかねないとの懸念が広がっていた。
出馬を模索していた吉田晴美衆院議員は告示当日の7日午前も江田憲司元代表代行と一本化に向けて協議。吉田氏は、江田氏が主張する消費税減税を受け入れ、二人が合意したのは同日午前10時半。吉田氏の届け出が選挙管理委員会に受理されたのはタイムリミットとなる同11時の1分前だった。
ただ、吉田氏の推薦人には、野田氏支持の奥野総一郎衆院議員や小西洋之参院議員の名前が連なる。このため、党内には「決選投票を見据えた野田陣営の多数派工作の一環ではないか」(関係者)との見方も出ている。