英国のイスラム系住民が路上で武器? 女児3人刺殺事件で拡散【ファクトチェック】

AI要約

英国で女児3人が刺殺される事件が発生し、犯人は移民だと憎悪を煽る偽誤情報が大量に拡散した。

日本でもイスラム系の暴力性を指摘する投稿が相次いだが、実際には結婚祝いでナイフを持った群衆が踊る様子であり、ミスリードである。

動画はバーミンガムの結婚式場での祝いのダンスであり、暴力的な意味はなく、誤情報が広まっている。

英国のイスラム系住民が路上で武器? 女児3人刺殺事件で拡散【ファクトチェック】

英国で女児3人が刺殺される事件が発生し、犯人は移民だと憎悪を煽る偽誤情報が大量に拡散しました。日本でも「英国に住むイスラム系住民が路上で武器を見せる」という文言とともにナイフを持った群衆の動画が拡散し、イスラム系の暴力性を指摘する投稿が相次ぎましたが、ミスリードで不正確です。これは結婚祝いで装飾用のナイフを手に踊る様子です。

検証対象

2024年8月3日、「日本のメディアが報道しないニュース 英国に住むイスラム系住民が路上で武器を見せる」というキャプションとともに、男性たちがナイフをかざして太鼓の音楽に合わせて踊る様子が映った動画が拡散した。

「確実にテロ等準備罪ですけどねえ」「狂った民族ですね」などのコメントがついている。同じ動画は英語で多数拡散している。

検証過程

7月29日、イングランド西部のサウスポートのダンススタジオで、3人の少女が17歳の少年に刺殺される事件が起きた。事件後、犯人はボートでイギリスに渡ってきたイスラム系移民だといった偽情報がSNSで拡散し大規模な暴動が起き、モスクなどが襲撃されている。

動画をGoogleレンズで検索すると、同じイベントと思われる動画が多数見つかる。いずれの動画を再生しても、太鼓の音楽に合わせて踊る姿ばかりで、暴力的な様子は見えない。

動画の説明書きにはイスラム教徒の危険性を強調するような内容のものが多いが「結婚式の刀を使った儀式」というものが見つかる。

また、動画の説明や背景から撮影場所をGoogleマップで探すと、イングランド中部バーミンガムで結婚式場としても使われる「Piccadilly Banqueting Suite」という建物前の広場であるとわかる。

同様の映像についてファクトチェックしたロイターの記事によると、男性たちが持つナイフはJambiya(ジャンビヤ)と呼ばれる装飾的な短剣だという。検索してみると画像が動画内の短剣と一致する。

ロイターのファクトチェックでは、動画についてバーミンガムの結婚式場での祝いのダンスであり、投稿者が暴力的な意味を持つ動画だと説明しているのはミスリードだと判定している。

ナイフを持った男性たちが踊る様子の動画とともに「英国に住むイスラム系住民が路上で武器を見せる」という言説が拡散したが、ミスリードで不正確。短剣をかざしているのは事実だが、暴力的な意味はなく、結婚式の様子。

検証:宮本聖二

編集:藤森かもめ、野上英文、古田大輔

判定基準などはJFCファクトチェック指針をご参照ください。