下手に処分すれば「ただのゴミ」…故人を悲しませずに「思い出の遺品」を処分するとっておきの方法

AI要約

遺品整理をする際には、他人の思い出の品を勝手に処分したり収納したりすることは避けるべきであり、本人の気持ちを尊重しながら進める必要がある。

思い出の品を整理する際には、処分する決断が必要であり、思い出の品ボックスを作って保管することで一定の期間を置いてから再度判断する方法が効果的である。

思い出の品ボックスは、整理の決断までのモラトリアムとして機能し、スペースを取らない利点もある。

下手に処分すれば「ただのゴミ」…故人を悲しませずに「思い出の遺品」を処分するとっておきの方法

両親が亡くなったとき、実家をどうするか考えているだろうか。実家に戻って暮らすのか、それとも実家を処分するのか。いずれにしても遺品整理が必要だが、そこには想像以上の困難が待ち受けている。いわゆる「親家片(おやかた)」本には、「こうして片づけた」「こうすれば片づけられる」などと成功例が書かれているが、現実はそんな生やさしいものではない。

『遺品は語る』(赤澤健一著)から抜粋して、注意するべきポイントをお届けする。

『遺品は語る』連載第27回

『遺品整理業者のアドバイス「完璧主義はぜったいNG」…遺品整理に取り組むときの正しい「心構え」』より続く

遺品整理の際には、ほかの家族のものを無断で処分したり、あるいは収納場所に勝手に片づけてしまったりという間違いを犯しがちだ。他人から見ればガラクタでも、本人にとっては思い出の品だったりする小学校時代の成績表、写真、おもちゃ、本、レコードなども多い。

それを一人で判断して整理してしまっては、トラブルを招くことにつながる。本人の気持ちにも配慮して、ちょっと尋ねるといい。

こうした思い出の品をどう整理するかもポイントになる。

写真、ビデオ、手帳、本、レコードやCD、あるいは旅先で買った雑貨など、思い出の詰まった品物は誰にとっても大切なものだが、遺品整理をする親の家というのは、そういう「思い出の品」ばかりだ

片づけの際に、「お父さんの思い出の品だから」などといって棚などに飾っておくことにして、場所を取るような間違いもよく目にするが、処分してよいものは処分するという決断が必要だ。さもなければ、遺品整理などそもそも進まない。

処分するかどうかの決断ができない場合、私どもは「思い出の品の専用ボックスを作って、そこに保管するといい」とアドバイスしている。前述の、判断保留にして作業を進めるのと同じ考え方だ。一定の期限を決めて、そのときに改めて処分の仕方を決めるのだ。

実際には、こうした「思い出の品」は、その後に箱を開けて見られることはほとんどない。期限を決めて開けなければ、そのまま忘れられてしまう。

とはいえ、「だったら、すべて処分してしまえばいい」というのも間違いだ。時間がたって執着が薄れ、思い出と決別する踏ん切りがつくまで待つ必要がある。それでも決断できなければ、再び期限を決めてボックスにしまっておけばいい。思い出との別れには時間が必要なのだ。

つまり思い出の品ボックスは、整理する決断までの一種のモラトリアム方策といえる。ボックスに入れておけば、棚に飾ったりするよりスペースも取らないという利点もある。