小中学生向け熱中症対策の市事業巡り議決前に入札 山口・防府

AI要約

山口県防府市の小中学生らを対象にした熱中症対策事業で、冷感タオルを購入するための経費約2000万円を盛り込んだ補正予算案が市議会で可決前に入札が行われ、無効となったことが明らかになった。

市は一部議員から批判を受け、「議会軽視だった」と認め、再度入札する方針。補正予算案は可決されたものの、再発防止を求める声が上がっている。

冷感タオルは小中学生9500人と地域住民らへの配布が予定され、7月19日までに完成させる計画。取り組みは評価されつつも、市が議会手続きを無視した点が問題視されている。

小中学生向け熱中症対策の市事業巡り議決前に入札 山口・防府

 山口県防府市の小中学生らを対象にした登下校時の熱中症対策事業で、児童・生徒らに配る冷感タオルを購入するための経費約2000万円を盛り込んだ2024年度一般会計補正予算案が市議会で可決される前に、市が購入業者を決める入札を実施していたことが明らかになった。市は「議会軽視だった」と認め、入札を無効とした上で再度実施する方針。補正予算案は3日の市議会6月定例会の最終本会議で可決されたが、市議からは再発防止を求める声が相次いだ。

 市教育委員会によると、冷感タオルは小中学生9500人と、地域住民らの「みまもり隊」900人の計1万400人分を用意。遅くとも1学期が終わる7月19日までに配布したいとしている。

 入札は6月25日午前9時に実施され、同10時に始まった市議会予算委員会で議員から「ルール違反だ」などと指摘があった。市幹部は「子供たちにタオルを早く支給したかったため入札に至った」と釈明したが、事業の財源となる補正予算案は可決されておらず、入札は無効とした。落札業者とは契約に至っておらず、違約金は発生しないという。

 7月3日の本会議討論では、市議から「議会を軽視というより無視した重大な問題」といった意見があった。一方、事業そのものについては「大変有効な取り組みだ」などとし、全会一致で補正予算案を可決した。閉会後、市教委の高橋光男教育部長は取材に対し「あってはならないことで、議会と入札に参加した業者、市民に改めておわびします」と陳謝した。仕切り直しの入札は5日に実施される予定。【脇山隆俊】