ジオパークで「石」売っちゃダメ?ユネスコ指針抵触で認定解除の危機…貴重な収入源「理念だけ押しつけられても」

AI要約

ユネスコによる山陰海岸ジオパークの再認定審査が行われ、2年前に条件付き再認定された問題が再び取りざたされている。

問題とされているのは、土産物店での海外石や化石の販売であり、ジオパークのガイドラインに違反している可能性が指摘されている。

運営団体や管理会社との関係や代替商品の開発など、解決策には複数の課題が残っている。

 国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)による山陰海岸ジオパークの世界ジオパーク再認定審査が6~10日の日程で行われる。2022年の前回審査では、ジオパークのエリア内にある民間施設で地質資源である石を販売していることが問題視され、2年間の条件付き再認定(イエローカード)となった。今年で猶予期間が終了するが、抜本的な解決の糸口は見えていない。(熊谷暢聡)

 ユネスコの評議会が問題としているのが、玄武洞公園(兵庫県豊岡市)前の民間博物館「玄武洞ミュージアム」併設の土産物店で海外産の石や化石を販売していることだ。世界ジオパークのガイドライン(指針)は、地質遺産の保護などを目的にジオパークの「管理運営団体」が化石や鉱物、装飾用の石の売買に関わることを禁じている。

 山陰海岸ジオパークの管理運営は同パーク推進協議会が担っている。しかし、土産物店の運営会社「玄武洞観光」は協議会の構成団体ではない。

 協議会の松原典孝アカデミックディレクターは「(土産物店の場所が)世界的に重要とされているジオサイトの前であることと、公式マップなどにミュージアムを載せていることで協議会が販売を容認しているかのように見えてしまった」と説明する。

 ガイドラインには、地質学的な物質の持続可能ではない取引全般を積極的に防ぐよう求める記述もある。

 石の販売自体に法的な問題はない。実際、各地の観光地で広く売られている。この土産物店としても山陰海岸ジオパークが認定される以前の1970年代から販売してきた経緯がある。

 玄武洞観光の田中慎一社長は「子どもたちが本物に触れる機会を販売(という形)で提供するのは、必ずしも悪いこととは思えない」と語る。

 打開策を検討するため、協議会は国内のジオパーク関係者らを交えた「タスクフォース(作業部会)」や円卓会議を作り、同社と協議を重ねてきた。部会からは代替商品の開発といった提案も出ているが、石の販売を中止した場合の収入源を確保する具体策は不透明だ。