ハンセン病患者に開発中の薬投与 戦中戦後に熊本で、死亡例も

AI要約

戦時中から戦後にかけて、ハンセン病患者に投与された「虹波」と呼ばれる薬の治験に関する報告書が公表された。

治験では入所者の3分の1が参加し、激しい副作用がありながら中止されなかった。期間中に9人が死亡し、2人は特に副作用の影響が疑われた。

虹波は写真の感光剤を合成した薬剤で、戦時中に旧日本陸軍が研究したものである。

 国立ハンセン病療養所菊池恵楓園(熊本県合志市)で戦時中から戦後にかけて、ハンセン病患者に「虹波」と呼ばれる開発中の薬を投与する治験があり、実態を調べていた同園の委員会は24日、報告書を公表した。治験を始めた初期の頃には入所者の3分の1が参加、激しい副作用があったが当時の医師らは中止しなかったとした。治験の期間中に9人が死亡し、うち2人が特に副作用の影響が疑われるという。

 虹波は写真の感光剤を合成した薬剤で、戦時中に旧日本陸軍が寒冷地での兵士の凍傷対策など肉体強化に役立つと考え、研究したとされる。

 報告書によると、被験者は判明しているだけで472人。同園は「大規模な試験だった」と説明。他にも被験者となった可能性がある入所者が370人いることも明らかにした。

 共同通信に以前開示された宮崎松記園長(当時)の名前を記した1943年の報告書には、運動力や視力の回復などの効果があったとする一方、死亡例もあったと明記されていた。