東京都内でネズミ被害急増、渋谷にワナをしかけたら4時間で30匹…相談件数は10年で2倍

AI要約

東京都内でネズミ被害の相談件数が急増している。飲食店の生ゴミや果樹の残りが原因とされる。

住宅の隙間や庭に果樹があることがネズミ被害を引き起こす要因となる。

都ペストコントロール協会が衛生管理や環境整備を呼びかけている。相談件数の増加はコロナ禍の影響もある。

 東京都内でネズミ被害の相談件数が10年前に比べ約2倍と急増している。飲食店の生ゴミや摘み残した果樹などが要因とみられる。駆除業者などでつくる都ペストコントロール協会(千代田区)では、衛生管理の徹底や、ネズミの生息しにくい環境づくりを呼びかける。(石坂麻子)

 八王子市の築約50年の木造2階建ての民家で5月20日、同協会加盟の「奥田建物管理」(八王子市)の社員が、床下の通気口を金網で閉じていた。築30年以上の民家ではこのような隙間があるところが多いが、2センチもあれば、クマネズミは入り込むことができるという。

 この住宅では昨年11月頃から、ネズミが天井裏を走り回り、住人の高齢夫婦を悩ませていた。夫(84)は「午前2時から3時ごろになるとドドドドーと響いて、寝られなくてね」と話す。市役所に相談したところ、同社を紹介された。

 4月に社員が出向き、捕まえるために天井裏と床下にエサとわなを仕掛け、一部の通気口は閉じた。社員が気付いたのは庭にカキとキンカンの木があったこと。庭の果物はネズミのエサになりやすい。「たくさん実がなって毎年楽しみにしていたけれど、かじった跡を見つけて、泣く泣く切りました」と妻(80)は話す。

 その後、この住宅ではネズミの足音に悩まされることはなくなったという。同社社長の奥田真司さん(48)は「住宅地には空き家も増えており、ネズミのすみかになりやすい。庭の手入れがされず、雑草が繁茂する状態も隠れ家になりやすい」と指摘する。

 同協会では害虫・害獣の相談窓口を設けており、ネズミの相談件数は、2013年に1860件だったが、23年には倍となる3629件となった。特に、コロナ禍が収束し、飲食店などの生ゴミが増えたことなどから、23区内では繁華街を中心に相談が増加している。

 家屋やビル内はクマネズミ、屋外はドブネズミが多いという。クマネズミは体長約15センチと小さめで、警戒心が強く、駆除しづらい。ドブネズミは約20センチで、性格は凶暴とされる。雑食性で、飲食店や家庭から出る生ゴミもエサとする。