与野党いずれもアピール不発の規正法改正案…自民「弱体化不可避」、立民・国民は主張反映されず

AI要約

自民党は政治資金規正法改正案で修正を重ね、6日の衆院通過にこぎ着けた。自らの「政治とカネ」の問題が発端だったため、他党への譲歩を余儀なくされ、主張が取り込まれた公明党、日本維新の会でも高揚感は乏しい。

与野党いずれも、改正審議が国民への改革姿勢のアピールにはつながっていない。自民は公明の賛同を得るため、岸田首相が政治資金パーティー券購入者の公開基準額を引き下げるなど譲歩した。

一方、公明は主張が反映されたことを認めつつも、存在感を発揮できなかったという反省がある。改正案には立憲民主党や国民民主党の主張は反映されず、対立がより明確になった。

 自民党は政治資金規正法改正案で修正を重ね、6日の衆院通過にこぎ着けた。自らの「政治とカネ」の問題が発端だったことで他党への譲歩を余儀なくされ、主張が取り込まれた公明党、日本維新の会でも高揚感は乏しい。与野党いずれも、改正審議が国民への改革姿勢のアピールにはつながっていないのが現状だ。

 「与野党の枠を超えて取り組むべき重要課題だ。各党の提案をできる限り取り入れた」。自民の茂木幹事長は6日、改正案の衆院通過を受けて、こうコメントを発表した。

 自民は公明の賛同を得るため、岸田首相(自民総裁)が自民内の反対論を押し切り、政治資金パーティー券購入者の公開基準額「5万円超」への引き下げを受け入れた。

 政策活動費(政活費)を巡っても、公明、維新の主張を反映し、第三者機関の設置や、1件あたり50万円以下の支出も含め10年後に領収書を公開することを今後の検討課題として付則に盛り込んだ。

 ただ、改正が実現すれば自民議員の資金調達が難しくなることが予想される。「党の弱体化は避けられない」(党幹部)と、譲歩を重ねたことへの恨み節もくすぶっている。

 一方、公明の石井幹事長は6日、国会内で記者団に「ほぼ我が党の主張通りの中身になった」と述べた。とはいえ、公明は1月にいち早く党の政治改革案をまとめ、「政治改革の議論を主導する」(山口代表)と意気込んでいただけに、党関係者は「自民との対立ばかりが注目され、結果的に存在感を発揮できなかった」と振り返った。

 維新の馬場代表も同日、「幾ばくかの足跡を残せた」と語ったが、立憲民主党からは与党寄りの姿勢を「自公と『同じ穴のむじな3きょうだい』だ」と批判された。重点項目として掲げた企業・団体献金の禁止も改正案には取り入れられなかった。

 立民や国民民主党は主張がほとんど反映されず、改正案反対に回った。立民の泉代表は6日、記者団に「修正案は不合格で話にならない。参院でしっかり追及する」と語った。