保育士2人、転落しかけた女性救助 「知らん顔したらあかん」を実践

AI要約

兵庫県警宍粟署が高齢女性を単独事故から救助した保育士2人に「のじぎく賞」を贈る。

車が道路から傾いて動けなくなり、保育士が即座に救助に駆けつける。

保育所で子どもたちに人助けの重要性を教えている2人は、実践する機会を得て喜んでいる。

保育士2人、転落しかけた女性救助 「知らん顔したらあかん」を実践

 兵庫県警宍粟署は、単独事故で車ごと道路から落ちそうになっていた高齢女性を救助したとして、宍粟市の女性保育士2人に「のじぎく賞」を贈った。2人はふだんから子どもたちに人助けの大切さを説いているという。

 署によると、4月4日午前11時40分ごろ、同市山崎町加生の市立かしわの保育所のそばを通る狭い市道で、姫路市の70代女性が軽四貨物車を運転中、車体左側の前後の車輪が脱輪した。道路と道路脇の地面とは1メートル以上の落差があった。車は道路脇のフェンスと太陽光パネルに倒れ込むようにして、斜めに45度ほど傾いたまま動けなくなったという。

 「ギギギ」「ガガガ」。屋外の駐車場にいた同保育所の保育士片山可奈子さん(41)は、異音を耳にした。周りを見渡すと、数十メートル離れた場所で傾いているグレーの車を見つけた。すぐに駆け寄って運転席のドアを開けようとするが、ドアが重くてなかなか開かない。「隙間に親指を入れて『がっ』と開けて、そのままの姿勢で声をかけました」と片山さん。幸い運転していた女性にけがはない様子だった。

 すぐに同僚の横野祐子さん(37)が駆けつけ、片山さんがドアが閉まらないように踏ん張っている間、女性の手を取って運転席から引き出した。横野さんは「傾いている車が太陽光パネルを壊して地面に転落しないか心配でした」と当時の心境を振り返った。

 のじぎく賞の贈呈は5月29日に宍粟署内であり、三浦保志署長は「女性が大けがをしている可能性もあり、人助けをしてもらってありがたかった」と感謝の言葉を述べた。片山さんと横野さんは普段から保育所に来る子どもたちに「人助けせなあかんで。困っている人がいたら知らん顔したらあかん」と教えているといい、「実践できて良かった」と胸をなで下ろしていた。(雨宮徹)