「首都高を走るバカLUUP」はまだ序の口…ルール無視の危険電動キックボードがこれから増殖するワケ

AI要約

LUUPの利用条件や改善点について紹介されている。

電動キックボードの安全性向上と国の取り組みが丁寧に紹介されている。

新しい電動キックボードの進化や操作性に関する情報が提供されている。

■LUUPに乗る条件は「交通ルールテスト」全問正解

 都心の道路では、このところLUUPがとにかく目立っている。青緑と白のシェア電動キックボードだ。

 見た目にもさわやかでオシャレ。特に若い女性が乗っているのを見ると、なんだか「新時代」とも思う。じつは私も何度も乗っている。使い方によっては便利だ。

 国も利用を促進したいようで、道交法改正で昨年7月から、一定の要件を満たせばこの電動キックボードに運転免許なしで乗れるようになった。

 利用法は簡単で、スマホのアプリを起動して、QRコードを読み込むだけ。それで借りられる。昨今は登録の際にアプリ上で「交通ルールテスト」を受験して、全問正解しないと利用できないシステムになっている。

 電動キックボードは原則として車道の左側を走り、歩道では降りて手で押して歩く、といったルールを理解させる取り組みで、交通法規にも気を遣っていて、ちょっとエラいとも思う。

■速度、操作性、制御、操舵性がアップ

 そしてもうひとつ、ちょっとだけ感心していることがある。このところ、速度も、操作性も、制動も、操舵性も……、なんだか良くなっているのだ。

 一言でいうと、前につんのめりにくくなった。ブレーキにもしっかり感がある。特に真四角の「特定小型原付ナンバー」が付いている新モデルがそうだ。

 実は以前から、これらの進歩を予感していた。ちょっと前、電動モビリティ新製品展示会で試乗車に乗ってみたからだ。私が試したのは、セグウェイ社など数社が出している製品だったのだが、共通して次のような進化があった。LUUPの現状ともあわせて、一つひとつ見ていこう。

■止まるときは両方同時を推奨

 ▼足下のボードが、堅牢かつ重く

 まず足下のボード部分、つまり足を乗せる部分が広く、頑丈になって「ふにゃふにゃ」や「ガクガク」がなくなった。ガッチリしていて重い。

 その分「重心がかなり下がったかな」と思う。だから躯体に安心感がある。なんというか「踏ん張り感」が出たというべきか。

 ▼ブレーキバランスに進化

 個人的にはこれが一番の進歩だろうと思う。LUUPは右手側が前輪のブレーキ、左手側が後輪のブレーキなのだが、後ブレーキが強力になり、なおかつ前ブレーキだけだと利きにくくなったという印象だ。両手ブレーキだとわりとスピーディに止まれるのに、片手だとちょっと空走距離が生じる。でもちょっと違う。もっとうまくマネジメントされている感じだ。

 私は意地悪に「つんのめってやろう、どうだこれで、ぎゅーっ(片方のブレーキだけ握る)」って何度もやってみたのだけど、たとえ前ブレーキだけでも(少なくとも平地では)つんのめらない。で、両手でかけるとピタリと止まる。

 じつはこの「前ブレーキだけだと危険なので、止まるときは強制的に両ブレーキ同時で」というのは、国交省と警察庁の指導により、新たに作ったセッティングなんだそうだ。

■段差に強く、より安全な乗り物になった

 ▼前輪に堅めのサスがついた

 よく見ると前輪部分にマウンテンバイクのようなサスペンションがついている。この前輪サスは「この手があったか」の代表格で、堅めのセッティングで「つんのめり力(?)」を吸収してくれるようになった

 これが急ブレーキの際にも利くし、理論上は軽い段差なら吸収する。ホイールが10インチになったことも合わせ、以前よりは段差に強くなったといえよう。

 ▼時速3キロ以上にしないと電動モーターが動かなくなった

 これまたナイスアイデアで、要するに、乗り始めのスピードゼロの際、不意にアクセルがかかり「オオッと!」ということがなくなったわけだ。

 最初にトントンと片足で助走をして(助走とはいっても歩く速度以下だ)両足を乗せてアクセルを入れる。するとジワーッと駆動力がかかるというわけ。

 なるほど、こうしたアイデアを随所に活かしつつ、最高時速が20km/hまでしか出なくなった(歩道モードは6km/h)。ひとことで言うと、以前と比較するとかなり安全になっているわけだ。私はちょっと認識を新たにした。