医療機器大手シスメックスに公取が立ち入り検査…「抱き合わせ販売」で独禁法違反の疑い

AI要約

公正取引委員会が医療機器大手シスメックスに対し、独禁法違反の疑いで立ち入り検査を始めた。

同社はライバル会社製の試薬を使わない場合、自社製の測定装置を販売しない条件を取引先に提示していた疑いがある。

シスメックスは市場で多大なシェアを持つ企業であり、公取委は抱き合わせ販売など不当な取引方法について調査中。

 血液検査に用いる測定装置と試薬を抱き合わせ販売するなどした疑いがあるとして、公正取引委員会は4日午前、東証プライム上場の医療機器大手「シスメックス」(神戸市)に対し、独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで立ち入り検査を始めた。調査場所は本社や全国の支店など計20か所以上とみられる。

 関係者によると、同社は遅くとも2019年頃から、取引先である病院や衛生検査所に対し、ライバル会社が製造する試薬を使用した場合、同社製の「血液凝固測定装置」を販売しないと伝え、他社の事業活動を不当に妨害した疑いがある。

 性能面や使いやすさなどから同社製の装置の購入を希望していた取引先は、こうした条件提示を受け、安価な他社製の試薬の購入を諦めて同社製の試薬を使用する契約をしたとみられる。

 公取委は、こうした行為が独禁法の禁じる「抱き合わせ販売」などに当たる可能性があるとみて調べる。

 同装置は血液の固まり具合や血栓が溶ける状況などを調べるもので、価格は1台当たり1000万~2000万円。22年の市場規模は約27億円で、同社はシェア(市場占有率)の5割超を占める国内最大手という。

 同社は、年間100億円を超える試薬の市場では業界2位で、自社製の装置と試薬を継続的に取引先へ販売できる体制を築くことで、ライバルの試薬メーカーを市場から排除し、安定的な利益の確保を狙ったとみられる。

 同社ホームページなどによると、同社は1968年に創業。開発した医療機器は全国の大学や病院で使われ、世界190以上の国や地域に輸出されている。2024年3月期の連結売上高は約4615億円に上る。

 同社は取材に対し、「公取委による調査を受けているのは事実だ」と答えた。