「もう地震はこりごり」1月に続く大きな揺れ、住民恐怖 石川・能登

AI要約

石川県と珠洲市で震度5強の地震が発生。被害やけが人が出たものの、津波の心配はない。

緊急地震速報がM6.0の地震を予測し、実際より大きい揺れが起こった可能性がある。

地震被災者の恐怖や行政の対応についても報道されている。

「もう地震はこりごり」1月に続く大きな揺れ、住民恐怖 石川・能登

 3日午前6時31分ごろ、石川県の輪島市と珠洲(すず)市で震度5強の揺れを観測する地震があった。気象庁によると、震源地は石川県能登地方で震源の深さは約14キロ、地震の規模を示すマグニチュード(M)は6・0と推定される。

 この地震の影響により石川県で1人、富山県でも1人がけがをしたほか、輪島市で住宅5棟が倒壊した。珠洲市内で若干の潮位の変動が観測されたが、津波の被害の心配はないという。

 気象庁の原田智史(さとし)・地震津波監視課長は3日午前に開いた記者会見で「少なくとも今後1週間程度は同じくらいの規模の地震が起きる可能性が1割から2割ある」と話し、注意を呼びかけた。

 石川県津幡町によると、自宅で就寝中だった60代の女性が緊急地震速報に驚きベッドから転落し、右足を骨折した。また、富山県によると、滑川市の20代男性が避難中に自宅内で転んで頭などを打ち、軽傷を負った。

 地震の直前に出された緊急地震速報ではM6・5、M7・4と予測され、実際よりも大きかった。原田課長は「現在精査しているが、極めて短時間で同じ場所で複数発生したということが分かっている。それが何らかの原因で影響し(Mが)大きく出てしまったのではないかと推測している」と説明した。

 Mの数値は0・2大きくなるとエネルギーは2倍に、1大きいと32倍になる。

 一方、1月の地震に続いての大きな揺れは、復興を目指す住民を恐怖に陥れた。

 輪島市の市街地に住む輪島塗の沈金伝統工芸士、山崎達司さん(66)は1月の地震で「全壊」の認定を受けた自宅で朝食の準備中に緊急地震速報が鳴り、揺れを感じた。「揺れが強まったら外に飛び出そう」と思ったという。

 ところが、その直後にも再び緊急地震速報が流れた。1月の地震の時も2度目の揺れが大きかったことから、山崎さんは恐怖を感じ、外に避難してからも「足の震えが止まらなかった」と話した。

 輪島市小伊勢町では、この地震で家屋の1階部分が倒壊した。市によると、1月の地震で「全壊」の判定を受けた時、1階部分は潰れていなかったという。近所の女性は「1月の地震以降、1階がやや傾いていた。この家の住民は、近くの仕事場で寝泊まりしていると聞いている」と話した。

 珠洲市飯田町の青木勇さん(75)は、基礎の一部が壊れるなどし半壊認定の自宅で生活を続けている中で被災した。「ドンと縦揺れが来た後、15秒ほど横揺れがあった。足の悪い妻とすぐに大通りに逃げた。いつ大きな地震が来て家が潰れるかと怖い。もう地震はこりごりだ」

 行政は対応に追われた。石川県の馳浩知事はこの日、岸田文雄首相との面会のため上京中だったが、昼前には金沢市の県庁に戻った。その後、能登半島の市町の首長らもオンラインで参加した県の災害対策本部員会議に臨み、情報交換した。

 輪島市の坂口茂市長は、今回の地震で倒壊した5棟について「緊急解体が必要な部分は進めていきたい。余震に十分注意しながら復旧を進めていく」などと述べた。【阿部弘賢、木谷郁佳、芝村侑美、深尾昭寛、千脇康平】

 各地の震度は次の通り。

 震度5弱=石川県能登町▽震度4=石川県七尾市、穴水町、新潟県上越市、長岡市、柏崎市、十日町市、刈羽村