1カ月後の新紙幣発行へ奔走…両替機更新で小規模店舗ピンチに 費用負担や情報不足

AI要約

新紙幣発行に伴う両替機や券売機の更新作業が進行中。銀行ATMや鉄道券売機は発行までにほぼ更新完了見込み。しかし、自動販売機などでは更新が年単位で続く。小規模店舗では負担感や情報不足が課題。

費用を補助する自治体も現れ、一部店舗への補助金制度が導入されている。しかし、事業者の多くは自力で対応を迫られており、更新作業の進捗は未知数。

飲料自販機の更新に関しても、未更新の機械が多数存在。更新に数年を要する見通しで、業界全体での対応が課題となっている。

1カ月後の新紙幣発行へ奔走…両替機更新で小規模店舗ピンチに 費用負担や情報不足

7月3日の新紙幣発行を控え、各業界で両替機や券売機などの更新作業が本格化している。銀行ATMや鉄道券売機などの社会インフラは、発行までに更新がおおむね完了する見通し。一方、飲料の自動販売機は発行後も年単位で更新作業が続くとみられる。小規模店舗では費用負担や情報不足が課題となっており、自治体の中には費用を補助する動きも出始めた。

「近年、ゲームセンターの経営は厳しい上に電気代も上がっている。そこで両替機の更新費用を負担するのは大変」

東京都多摩地区の駅前でゲームセンターを経営する男性(43)はそう漏らす。

両替機2台の更新費用は計20~30万円と見込むが、これまで新紙幣に対応した経験がないので「実際の負担額は分からない」と困惑気味だ。新しい両替機をどこから仕入れるのか、情報収集から始めるといい、更新は新紙幣発行日から大幅にずれ込む見通しだ。

機械を新紙幣に対応させる費用は最大200万円程度かかるケースもある。特に飲食業や小売業など小規模店は負担感が大きいため、一部自治体では補助事業を実施。中小規模の店舗を対象に1台につき30万円まで補助する東京都葛飾区の担当者は「小さい機械なら50~60万円で更新可能と想定している」と話す。

ただ、大半の事業者は自力での対応を余儀なくされ、供給側の能力も考慮すれば、今年7月までにどこまで更新作業が進むのか未知数だ。国内ATMでトップシェアの沖電気工業は、新紙幣発行による更新需要は2~3年続くとみている。

全国に221万台ある飲料自販機については、新紙幣の流通量に合わせて更新が進められる見込み。27万台を保有する飲料大手のダイドードリンコの担当者は「7月3日時点では未更新の自販機が相当数ある。状況を見ながら2~3年かけて全て取り換えていくことになる」と話している。(福田涼太郎)