日本の温泉旅館事業にハイアット進出、独自の高級ブランド打ち出す

AI要約

日本の伝統的な旅館体験を旅慣れた人向けに提供するハイアットの新ブランド「吾汝ATONA」が、箱根、由布、屋久島で展開予定。

宿泊料金は1泊800-1300ドルで、ハイアットのロイヤルティープログラムが利用可能。施設では、布団かベッドを選択できるほか、アラカルトメニューのあるダイニングレストランも設けられる予定。

ハイアットとKirakuの協力により、地方開発や日本文化を体験できるホテルを作ることに注力している。

(ブルームバーグ): 日本の最も伝統的なホテルである「旅館」を体験するには、旅慣れた人でなければならない。天然温泉(と共同浴場)を備えた家族経営の小規模な旅館は豪華だが、人里離れた山奥にあることが多い。英語を話すスタッフはそれほどおらず、寝るのはベッドではなく布団だ。

米ハイアット・ホテルズは京都のデベロッパー、Kirakuと共同で展開する新たな高級温泉旅館ブランド「吾汝ATONA」で、旅館のコンセプトを主軸にしたいと考えている。最初の施設を予定しているのは箱根、由布、屋久島の3地域で、2026年以降にオープン予定。

宿泊料金は1泊800-1300ドル(約12万6000-20万4000円)前後となる見込み。ハイアットのロイヤルティープログラム「ワールドオブハイアット」の会員は予約時にポイントを利用できるが、交換レートはハイアットの最高級ブランドと同等となる。(補足すると、米カリフォルニア州にあるハイアットの5つ星ホテル、アリラ・ビッグサーは1泊約4万5000ポイント、パークハイアット・モルディブは約3万ポイントが必要。ATONAはその中間)。

ATONA初の施設に関する発表を前に、ハイアットのアジア太平洋グループのデービッド・ウデル社長はブルームバーグに対し、「どうすれば顧客が日本と関わる機会を増やせるかに非常に興味がある」と語った。Kirakuと協力することで、ハイアットは特に地方での開発や本物の体験づくりに関して足りない知識を補うことができる。

Kiraku創業者で日系米国人のサンドバーグ弘氏は、ATONAの最初の3施設を決めるために日本全国を巡って建設地を探し、新プロジェクトへの地元の理解を得た。現在は、世界の消費者を尻込みさせることなく、日本文化のユニークな側面に根差し、モダンと伝統の両方を感じさせるようなホテルを作るにはどうすればいいのか模索している。

同氏は今のところ、宿泊客が布団かベッドのいずれかを選べるようにすると決めている。また、高級旅館の食事は通常、日本酒に合わせた会席料理が提供されるが、ATONAの施設ではアラカルトメニューのあるダイニングレストランを併設し、ハンバーガーやカクテルが欲しくなったら注文できるようにする予定だ。