トヨタがPHVやHV向け新エンジン開発へ、マツダ・スバルも…環境対応車の競争力を強化

AI要約

トヨタ自動車がエンジンとモーターを組み合わせた新たなエンジン開発を発表。

新エンジンは排気量を小型化し、燃費を大幅に改善する目標を持つ。

また、植物由来のバイオ燃料などカーボンニュートラル燃料の活用も視野に。

トヨタは2030年までにEV販売台数を350万台に伸ばす計画を掲げる一方、全方位戦略でHVやPHVなど多様な選択肢を提供。

また、マツダ、スバルと協力し、電動化時代に最適なエンジンを開発していく。

エンジン開発を進める背景には部品メーカーへの配慮もあり、EV化が進む中で部品メーカーを保護する必要性を強く意識。

 トヨタ自動車は28日、エンジンとモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド車(PHV)やハイブリッド車(HV)向けに、新たなエンジンを開発すると発表した。電気自動車(EV)の販売が伸び悩むなか、強みを持つエンジンの技術に磨きをかけることで環境対応車の市場で競争力を強化する。(水野翔太、仁木翔大)

 トヨタが開発するエンジンは、排気量1・5リットルと2リットルの2種類。いずれも従来より体積などを10%小型化しながら出力を高めることを目指す。エンジンを小型化することで車体設計の自由度を高めて空気抵抗を低減することにより、1・5リットルでは燃費を12%改善できるという。

 新たなエンジンでは、植物由来のバイオ燃料や水素と二酸化炭素(CO2)で作る合成燃料(イーフューエル)など、実質的にCO2を排出しないカーボンニュートラル(CN)燃料の活用も念頭に置く。

 トヨタは、EVの世界販売台数を2030年までに350万台に伸ばす計画を掲げる一方、エンジンも搭載するHVやPHVといった多様な選択肢を用意する「全方位戦略」を打ち出している。28日に東京都内で記者会見したトヨタの佐藤恒治社長は、「電動化時代に最適なエンジンを開発していく」と強調した。

 電動化時代に対応したエンジンの開発には、トヨタと資本関係があるマツダ、SUBARU(スバル)も共同歩調を取る。

 スバルは、独自の「水平対向エンジン」を組み込んだ新型のハイブリッドシステムの開発に取り組み、24年秋から車両の生産を開始する予定だ。マツダは、PHVの発電用エンジンとして復活させた「ロータリーエンジン」を生かし、デザイン性の高い新型車の開発を進める。

 トヨタ、マツダ、スバルの3社はそれぞれ個別にエンジンなどの開発を進めるが、得られた知見は共有することも検討するという。

 3社がエンジンの開発に力を入れる背景には、系列の部品メーカーへの配慮もある。EVはエンジン車に比べて部品が3分の2程度に減るとされ、自動車業界では、EV化が進めば、部品メーカーを守れなくなるという危機感が強い。