海上運賃が急上昇、コロナ禍「混乱」想起させるペース-需給に逼迫感

AI要約

世界的なモノの貿易は低迷から持ち直しの兆しを見せ、海上貨物運賃が上昇している。ピーク前倒しやコンテナのスポット運賃の急増などが混乱を引き起こしている。

需要急増やサプライチェーンマネジャーの意識の変化が運賃高騰につながり、コンテナ輸送能力の限界から混雑が生じている。

海運業界はさらにアジアと北欧航路での容量損失や各種懸念に直面しており、状況はさらに厳しくなっている。

(ブルームバーグ): 世界的なモノの貿易は、昨年の低迷を経て持ち直しの兆しを見せており、海上貨物運賃が大きく上昇している。3年前の国際貿易を混乱させた需要の急増を思い起こすサプライチェーンマネジャーもいる。

ノルウェー・オスロに拠点を置く海運分析プラットフォーム、ゼネタのシニア海運アナリスト、エミリー・スタウスボール氏は「この状況は新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)時の混乱と海上運賃高騰の記憶を呼び起こすだろう」と指摘。「荷主はコロナ禍で教訓を得ている。一部はピークシーズンや需給が逼迫(ひっぱく)する可能性に備え、輸入を前倒ししている」と話す。

海上運賃がこの1カ月にわたり上昇している背景には、楽観よりも心配に起因するものがある。アジアの港湾での混雑、港や鉄道サービスを妨げる恐れがある北米の労働争議、米中貿易対立の高まりを巡る懸念などだ。

海運業界は紅海での攻撃によってスエズ運河を通らず、アフリカ南部を迂回(うかい)する遠回りを余儀なくされたことで、今年はすでに厳しい状況にある。世界2位のコンテナ会社APモラー・マースクは、アジアから北欧への航路について、今四半期の業界の容量損失を15-20%と推計している。

ピーク前倒し

学校の新学期やハロウィーン、年末商戦を前に小売業者が在庫補充に動くため、アジアや欧米の輸出入業者では通常、7月から9月にかけて出荷が増える。コンテナの輸送能力が限られるタイミングで、こうした需要増が起きているように見えると、アナリストらは語る。

「ピークシーズンの前倒しは大きな打撃だ」と、レイノス・ロジスティクスの米州海上貨物責任者、ステファニー・ルーミス氏は米メモリアルデーを前にリンクトインに投稿。「多くの輸送業者と今週話したが、コメントは全て同じであり、船舶は全て満杯だ」と記した。

コンテナのスポット運賃が逼迫感を映し出す。フレイトスのデータによると、アジアから米西海岸向けの40フィートコンテナのコストは、26日終了週に13.4%上昇し4915ドルと、5週連続で値上がりした。これは昨年12月終盤の3倍だが、2021年9月に付けたピークの2万586ドルをなお大きく下回っている。