フィアットは生産終了、アバルト版はどうなる? “15年選手”アバルト「695」今も色あせない魅力とは? 最新モデルでも“サソリの毒”は健在か?
ステランティス ジャパンは、2024年5月を持ってフィアット「500」と「500C」の日本仕様の生産を終了することを発表。
アバルトのハイパフォーマンスモデルである「595」と「695」の今後にも注目が集まる。
2023年に発表されたアバルト「695トリビュート 131ラリー」を通じて、アバルト「595」と「695」の魅力を紹介。
ステランティス ジャパンは先頃、イタリア生まれのコンパクトカーであるフィアット「500」と、そのオープン仕様である「500C」の日本仕様が、2024年5月を持って生産を終了すると発表。在庫がなくなり次第、日本国内での販売を終えるとアナウンスしました。
このニュースを受けて気になるのが、フィアット「500」シリーズのハイパフォーマンスバージョンであるアバルト「595」と「695」のゆくえ。もしかしたらこちらも、近いうちに生産終了となるのかもしれません。
というわけで本記事では、2023年に発表されたスペシャルモデル・アバルト「695トリビュート 131ラリー」をテキストに、アバルト「595」と「695」の魅力をおさらいしたいと思います。
目に鮮やかなブルー×黒のボディカラーをまとった「695トリビュート 131ラリー」で真っ先に目に飛び込んでくるのがオーバーフェンダーです。これは、タイヤ周囲のボディに取りつけられたパーツで、より幅の広いタイヤを履かせるために装着されるものです。
フェンダー自体を膨らませたワイドフェンダーと同じ役割を持ち、「性能が高く。より太いタイヤを履かせる必要がある車両」であることを感じさせます。
「695トリビュート 131ラリー」は、専用のオーバーフェンダーによって通常のアバルト「695」比で全幅が10mm拡幅されており、見るからに普通のアバルト「695」にはないオーラを放っています。
●名車「131ラリー」をオマージュした特別な「695」
「695トリビュート 131ラリー」の車名に入る「131ラリー」とは、かつて世界ラリー選手権などで暴れまわった高性能モデルのことです。
「131ミラフィオーリ」というフィアットのファミリーセダンをベースにアバルトがモータースポーツ用に鍛えた、日本車でいえば三菱「ランサーエボリューション」のようなクルマでした。
「131ラリー」は四角いボディに大胆なオーバーフェンダーを組み合わせた無骨なスタイルが特徴で、濃紺の“オリオ・フィアット”カラーや、白ベースに緑をアクセントとした“アリタリア”カラーをまとったマシンがラリー界を席巻しました。
そんな「131ラリー」をオマージュした「695トリビュート 131ラリー」のベースとなった「695」は、2008年に発表され、2009年に発売されたアバルト「500」の進化版。いずれもフィアット「500」を高性能車部門のアバルトが強化したエボリューションモデルで、ハイパワーエンジンと締め上げたサスペンションによって走りを磨いています。
その生い立ちはフツーのセダンをベースとする「131ラリー」と同じようなもの。コンパクトなボディに180psのエンジンを組み合わせたアバルト「695」は、速さはもちろんのこと、アバルトの味つけによるドライビングプレジャーが話題となり、ここ日本でも高い人気を集めています。
今回フォーカスした「695トリビュート 131ラリー」は世界限定695台、日本向けは限定200台(右ハンドルと左ハンドルが100台ずつ)発売されました。アバルト「695」には自動変速モードがついたシングルクラッチの2ペダル仕様も設定されますが、「695トリビュート 131ラリー」は5速MTだけの設定でした。40年以上前の「131ラリー」にはMTしかありませんでしたから、この辺りも名車へのオマージュといえるかもしれません。