サイバーセキュリティの優先度が低い日本の経営層 「クラウド移行」の課題は?

AI要約

多くの企業がサイバーセキュリティ対策を怠っている現状について

サイバーセキュリティの事件が増加し、中小企業にも被害が及んでいる理由について

サイバーセキュリティクラウドが安全なサイバー空間を創出する取り組みと成長について

サイバーセキュリティの優先度が低い日本の経営層 「クラウド移行」の課題は?

 多くの経営者が重要性を認識しているにもかかわらず、ほとんどの企業が十分に対策をできていないサイバーセキュリティ。

 サイバーセキュリティの事件や被害は年々増え、高い水準で推移している一方、特に中小企業での対策があまり進んでいない。その背景には、十分な対策を講じていない経営層の存在がある。

 なぜ企業が今、サイバーセキュリティ対策をする必要があるのか。「世界中の人々が安心安全に使えるサイバー空間を創造する」という理念を掲げるサイバーセキュリティクラウドの小池敏弘社長兼CEOに、安全なサイバー空間をいかにして創出していくかを聞いた。

 サイバーセキュリティの事件は、どのくらい増えているのか。金融庁と警察庁が2020年12月に発表した「フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングに係る現金の不正送金被害が急増について(注意喚起)」によると、同年12月8日時点における同年11月末現在の個人での被害件数は、前年の1136件から5147件、被害金額も15億2000万円から80億1000万円に急増した。

 企業ではどうか。警察庁が同年9月21日に公表した「令和5年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」を見ると「企業・団体等におけるランサムウェア被害」は22年上半期で114件、下半期で116件、23年上半期で103件と、高い水準で推移している。

 103件の内訳を見ると、大企業が30件で29%、中小企業が60件で58%、団体等が13件で13%だ。業種別では、34件と33%を占めた製造業が最も多く、サービス業、卸売・小売業と続く。

 サイバーセキュリティサービスの開発や提供を手掛けるサイバーセキュリティクラウド(東京都品川区)は10年に創業した。社員数は約120人で、そのうち技術者は60人だ。

 Webサイトやサーバへの攻撃を遮断する「攻撃遮断くん」を13年に発売。23年に国内売上高シェア1位を獲得するまでに成長させた。売上高も右肩上がりで、23年12月期通期の売上高は30億6000万円と過去最高を記録。25年には売上高50億円、営業利益10億円、海外売上高比率10%超を目指している。

 さらなる成長を求めて、マネージドセキュリティサービス(MSS)の領域にも進出した。MSSとは、企業や組織の情報セキュリティシステムの運用管理を、社外のセキュリティ専門企業がアウトソーシングとして請け負うサービスのことだ。

 同社は23年10月、日本を含め世界中の企業がクラウドサービスプラットフォームとして採用しているAmazon Web Services(AWS)向けの各種セキュリティサービスを包括的に管理し運用する「CloudFastener(クラウドファスナー)」をリリースした。

 もしサイバー攻撃を受けた場合には、特定・防御・検知・対応・復旧という5つのプロセスがある。サイバーセキュリティサービスを担う会社は、そのプロセスそれぞれに強みを持つ企業が多いが、CloudFastenerは全領域をカバーすることによってワンストップのサービス対応をできるのが強みだ。