300ps超が当たり前?! JD-STERのプロオープンクラスを目撃せよ!

AI要約

JD-STERドラッグレースはバイクを最短距離でまっすぐ走らせる難しいレースで300ps超のモンスターマシンが参加する。

国内最大のドラッグレースが開催される会場は茨城県城里町のJARI城里テストセンターでアクセスが良い。

プロオープンクラスのシリーズチャンピオンは白田文博選手+HAYABUSA1441Rで330hp以上のパワーを誇り、ドラッグレースの醍醐味が味わえる。

300ps超が当たり前?! JD-STERのプロオープンクラスを目撃せよ!

ドラッグレースと聞いて昔ながらのストリート・ゼロヨンを想像し、「まっすぐ走るだけでしょ」と思うライダーも少なくないだろう。けれどバイクをA地点からB地点まで、いかに効率よく最短距離でまっすぐ走らせるレースと聞いたらどうだろうか?

そう、愛車をドラッグレースが行われる距離、すなわち1/4マイル(約402mだ)に渡って寸分の狂いなくまっすぐ走らせるのは実は非常に難しいことと分かるはず。ましてやここで紹介する『JD-STERドラッグレース』の頂点クラスを走る、300ps超のモンスターでとなればまさに異次元のテクニックがライダーに求められるのだ。そんな眼でJD-STERを眺めれば、きっと新しいバイクの楽しみ方が見つかるはずだ。

国内最大のドラッグレースイベント、JD-STERシリーズが開かれる会場は茨城県城里町にあるJARI(一般財団法人 日本自動車研究所)の城里テストセンター。当Webikeプラスで言えば、トリックスターによるニンジャZX-25Rターボプロジェクトでも、同施設のオーバルコースが使われたから覚えている読者も多いかもしれない。

また、モビリティリゾートもてぎに常磐自動車道経由で出かけたことのあるライダーなら、実は会場の入口をかすめているはず。地図で確認すると「ああ、ここにあるのか」と気づく、関東圏からはアクセスの良い施設だ。

今シーズンのJD-STERドラックレース第1戦はすでに5月5日に開催済みだが第2戦は6月9日、以降第3戦:7月14日、第4戦:10月6日、そして最終戦の第5戦は11月4日に予定されている。もちろん、いずれも休日開催。先の通りアクセスも良いから、関東圏のライダーなら気軽な日帰りツーリングの目的地にもできる、魅力的なバイクイベントとしてもお勧めしたい。

「初めてドラッグレースを観る」というライダーにまず注目してほしいのは、やっぱりトップカテゴリーのプロオープンクラスだ。エンジンから車体まで改造自由で、唯一禁止されるのはATぐらい。

ドラッグレースを走る車両は、ドラッグレース専用シャシー(ローリングシャシーとも言われる、リジッドフレームを使用する)を使うものと、市販車をチューニングしたものに大別されるけれど、JD-STERでは後者が主流。中でもプロオープンを走るのはNOS(ナイトロ オキサイド システム)やターボ、スーパーチャージャーなど過給機を使って300ps超にまでパワーを引き上げられたモンスターマシン群。スーパーチャージャーを搭載した市販車、カワサキH2の最高出力(ラムエア加圧時)が231psであったことを思えば、まさに異次元ともいえるチューニングが施されているのだ。

そんなプロオープンクラスで2023年シーズンのシリーズチャンピオンとなったのは白田文博選手+HAYABUSA1441R。第2世代のハヤブサをベースに純正の1340ccから1441ccに排気量を拡大、1441ccとしたその直近の公称馬力は330hp(334.6ps、246.1kw)以上。

2016年と2018年、そして2021~2023年の間は3年連続チャンピオンという不動の王者。8秒400というJARIでのコースレコードも保持するライダーだ。白田選手は、この第1戦でも予選から1番時計の8秒512を記録。早速に王者の貫録を見せつける。

しかし、決勝トーナメント第2回戦(準決勝)走行中にまさかのNOSトラブルが発生。ゴール後にスロットルを戻し吹き返したNOSがエアクリーナーボックス内で暴発。エアクリーナーを破壊した結果、フューエルタンクとサイドカウルが脱落してしまう。

転倒がなかったのは白田選手のこれまでの経験値の高さによるところだろうが、この時のゴール時終速は230km/h弱。エアクリーナーが膨らんで押されたタンクやカウルが風圧で引きはがされる、というアクシデントもそんなモンスターマシンならではかもしれない。

わずか8秒という走行の間にさまざまなドラマが起こるのも、ドラッグレースの醍醐味かもしれない。