自動運転、乗用車には非現実的 仏ルノーが新方針 「レベル3以上」は公共交通機関へ

AI要約

ルノーは、自動車メーカーとして高度な自動運転技術の開発を公共交通に集中する方針を示した。

乗用車向けの技術開発は進めず、既存の安全運転支援システムに満足しているという。

ルノーは、自動運転ミニバスの導入を目指し、中米企業WeRideと提携し、パリで実験的なサービスを行う計画だ。

自動運転、乗用車には非現実的 仏ルノーが新方針 「レベル3以上」は公共交通機関へ

フランスの自動車メーカーであるルノーは、高度な自動運転技術の開発の主軸を乗用車からバスなどの公共交通に移す。乗用車向けの同技術の開発は進めない方針だ。

ルノーは多くの市販モデルに先進運転支援システムを導入しているが、さらなる自動化については「現在の規制、顧客の期待、コストを考えると当面は可能性は低い」とした。

一般的な乗用車(自家用車)の場合、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)、追い越し支援、車線維持支援などの「レベル2」または「レベル2+」に分類される機能が「安全で快適に、安心して運転できる」ものとして十分との姿勢だ。

しかし、一段階上の「レベル3」との間には「技術的に著しいギャップ」があり、また限られた環境下でドライバーの監視を常に必要とするなど、機能としては限定的なものと捉えている。

ルノーは「現段階では、運転上の利点に対して顧客が負担するコストを考えると、需要は不十分なものか、あるいは逸話的なものになるだろう」と述べた。

「イノベーションはできるだけ多くの人々に共有され、経済的に利用しやすく、有用でなければ意味がない」

これを踏まえ、ルノーは公共交通機関向けの高度な自動運転機能の開発を優先しており、最終的には大型バンのマスターをベースにした「ロボット化された電動ミニバス」を導入する計画だ。

自動運転ミニバスは「24時間365日、完全な安全性で」運行することができ、電車、路面電車、バスなどの既存ソリューションの「代替または効率的な補完」になるという。

ルノーは有人の既存車両よりも高コストになるが、ドライバーが不要になることで相殺できると述べた。むしろ、より少ない労働力で車両全体を遠隔監視することができるとしている。

自動運転ミニバスの導入を目指し、ルノーは中米の自動運転開発企業WeRideと提携し、公道で「レベル4」のシャトルを試験運行する計画だ。WeRideは世界で約700台の自動運転車を運行しており、その累計走行距離は2700万kmに達する。

両社は今月末からパリで開催される全仏オープンテニスで「実験的」なシャトルサービスを運行予定だ。

高度な自動運転は乗用車には適していないというルノーの認識は、ドイツのフォルクスワーゲンとも共通している。今後の動向に注目だ。