「プロポリス」原料価格高騰 中国・アメリカとの原料争奪戦も

AI要約

プロポリスの原料価格が高騰し、需要が増加している中で、ブラジル産原料の収穫量が減少していることが明らかになった。

国内のブランドオーナーは値上げに踏み切る企業も現れており、原料の動向に注目が集まっている。

プロポリス製品の中で、原液やソフトカプセルが特に好調であり、新たな商品開発も進んでいる。

 プロポリスはコロナ以降に脚光を集め、世界的な需要が高まった。ブラジル産原料は中国やアメリカとの争奪戦が勃発。原料相場は収穫量減少も追い打ちをかけ、ハイグレード品は2倍以上に跳ね上がる事例もみられはじめた。こうした中、国内のブランドオーナーでは値上げに踏み切った企業も目立つ。

■ブラジル産の原料事情は?

 ブラジル・ミナスジェライス州は今年2月、プロポリスの収穫時期を迎えた。新物について、取材先からは「収穫量が減少した」「価格が上昇傾向にある」との声が聞かれた。 今年2月に現地を訪問した原料サプライヤーによると、「数年前は1kg90ドルだった原料相場は1.5倍に上昇した。最上級のものは2倍(180ドル)に跳ね上がった」という。グリーンプロポリスの起源植物・アレクリン(バッカリス)の群生量減少を要因のひとつとして指摘。「新芽の先端をかじるミツバチが、出来高を増やすために2番煎じもかじる状況が生じている。新芽の先端ほど有効成分が多いため、全体的な品質低下につながっている」という。他の原料サプライヤーからは、「現地養蜂家からランク低下の打診を受けた」「アルテピリンCやフラボノイドの有効成分は従来比で7掛、もしくは半分以下のものもあった」との声が寄せられた。

 原料高騰は、養蜂場を大豆畑に転換する地主が増えていることも要因のひとつ。ミナスジェライス州では農家(個人事業主)が土地を借りて養蜂するケースが多いため、地主の栽培転換の動きが価格上昇を後押しした。「価格高騰は従来、異常気象などを背景にするものが多かったが、プロポリス生産量自体が限界に達しつつあるようだ。今後の仕入れに不安を感じる」とする声も寄せられた。さらに、中国やアメリカなどの需要増も、需給バランスの崩れに拍車をかけている。

 こうした中、日本国内では値上げに踏み切るブランドオーナーも。「ここ数年、企業努力で価格据え置きに取り組んできたが、昨年秋から値上げした」「品質確保のためのコストアップを消費者に理解してほしい」との声が寄せられた。今年4月に値上げしたブランドオーナーからは、「駆け込み需要があった」との声も。原料動向に引き続き注視していく必要がありそうだ。

■「原液」「ソフトカプセル」好調

 高品質なプロポリス製品の製造には、原塊の品質確保が必要不可欠だ。各社では起源植物や産地を限定した提案のほか、アルコール抽出、ミセル化抽出、水抽出、超臨界抽出、超高圧抽出など、プロポリスの成分抽出法や飲みやすさ、濃度などを差別化ポイントとする提案を活発化させている。

 最終製品は、プロポリス原液やソフトカプセル、スプレー、キャンディ、ペットサプリなどが販売されている。取材先からは、「売れ筋は原液が圧倒的に多い」「ソフトカプセルが好調」といった声が。セルフケアや体調管理、抗菌対策を目的とする手堅いリピート需要に支えられている。

 ブランドオーナー各社では、ライトな商品開発による新規ユーザー獲得の取り組みも目立つ。ライト商品の定番はキャンディ。食べやすいフレーバーにすることで、子どもや高齢者のほか、昨今では声優やシンガー、ヴォイストレーナーに利用の裾野が広がっている。プロポリスを身近に取り入れられる商品開発は、スキンケアやヘアケア商材、石鹸などにも波及。メイン商材の原液を初めから利用するのはハードルが高いことから、プロポリス初心者が気軽に試せる商品開発が進んでいる。