賃上げ率2.5%でも「他産業に追いつかず」 介護事業所団体が調査

AI要約

介護事業所の正社員の今年度の賃上げ率は2.52%で、春闘での賃上げ率が5%以上になったため、介護業界は苦境に立たされている。

基本給を底上げするベースアップ(ベア)による引き上げは平均3299円で、1.36%の賃上げ率にとどまっており、現場の経営状況が厳しい状況にある。

全老健の会長は、他産業の賃上げに追いつけず、報酬が足りない状況が人材流出を招く可能性があると指摘している。

賃上げ率2.5%でも「他産業に追いつかず」 介護事業所団体が調査

 特別養護老人ホームや訪問介護など介護事業所の正社員の今年度の賃上げ率(前年度比)が、2.52%だったとする調査結果を業界団体が発表した。今年度の介護報酬改定では、来年度まで2年間の賃上げ率4.5%を前提に報酬が引き上げられたが、団体からは「さらに賃上げする余裕はない」と苦境を訴える声があがった。

 調査は、全国老人保健施設協会(全老健)など介護分野の事業者からなる9団体が、8~9月に実施。2060件(8761事業所分)の回答を集計した結果、正社員の今年度の賃上げ額は平均6098円で、前年度の平均4600円の約1.3倍となった。賃上げ率は2.52%だった。賃上げ全体のうち基本給を底上げするベースアップ(ベア)による引き上げは平均3299円で、1.36%の賃上げ率にとどまった。

 全老健の東憲太郎会長は、「今年度に2.5%分の賃上げをするという政府との約束は果たせた形だが、ベアはあまり進んでいないことから、現場は厳しい経営状況だったのでは」と分析。今年の春闘での賃上げ率が5%以上となり、10月には最低賃金が過去最大幅で引き上げられることなどを踏まえ、「とてもじゃないが他産業の賃上げには追いつかない。人材流出を防ぐには報酬が足りない」と話した。