新人のミスに三流は「様子を見る」、二流は「理由を尋ねる」…パワハラと思われない"一流のうまい声かけ"

AI要約

若手社員には叱り方が重要であり、指導者が叱ることを躊躇すると規律崩壊を招く可能性がある。

指導者は1度目から注意する必要があり、様子を見るだけでは問題が解決しない。

叱る際は注意の仕方に工夫が必要であり、適切なコミュニケーションを通じてメッセージを伝えるべきだ。

若手社員にはどう接すればいいのか。マネジメントコンサルタントの濱田秀彦さんは、「『パワハラ』と言われるのを恐れて、強く言えないと悩む上司・先輩層は多い。叱られ慣れていない令和時代の若者に対して効果的にメッセージを伝えるには、ひと工夫する必要がある」という――。

■「新入社員を叱れない」という悩み

 マネジメントやリーダーシップの研修を行っていると、参加者である管理職、監督職の方々から新入社員に関する悩みをよく聞きます。例えば「レクチャー中に寝る」「言葉遣いがなっていない」「業務時間中にスマホでSNSを見ている」「メモをとらず、同じことを何度も聞く」「チームミーティングに平気で遅れてくる」などです。

 そういった悩みを持つ方に「注意はしないのですか?」と聞くと、「パワハラと言われたくない」「ちょっと言うと落ち込まれる」「注意しても言い訳をしてくるので……」と歯切れの悪い返事が。

 新入社員をはじめとする現代の若者層は、人生の中で叱られた経験が少なく、自分のよくない行動に気づき、正す機会を得られないまま社会に出てしまう傾向があります。

 一方、管理職・監督職などの指導者層は、新入社員の非常識な行動を苦々しく思ってはいるものの、会社から研修などで、繰り返し「パワハラはいけない」「早期退職させるようなことはあってはならない」などと言われており、腫れ物に触るように接しています。

 このままでは、新入社員は自身のよくない行動を正すことができず、指導者層もストレスを溜めるばかりです。

 どうすればよいか、考えましょう。

■三流は「1度目は注意せず、様子を見る」

 三流の指導者は叱るべきところで叱りません。気持ちはわかります。「うるさい上司と思われたくない」「叱った後の気まずい雰囲気がイヤ」「パワハラと訴えられたくない」と考え、叱りを躊躇するわけです。

 ただ、叱らなかったらどうなるでしょう。

 例えば、あなたが仕切っているチームミーティングに、新入社員が事前の連絡なしに遅れてきたとします。何も言わなかったら、時間通り来た先輩社員たちは「これはアリなんだ」と思ってしまいます。こういうことが度重なると、誰も時間通りに来なくなってしまう、規律崩壊という状態になります。犯罪学の世界に「割れ窓理論」というものがあります。これは、1枚の割れた窓ガラスを放置しておくと、次々に略奪が起こり、荒廃していくというもの。新入社員が割れ窓になってしまうわけです。

 それに、叱るべきところで叱らないと、自分が上司から「なんで注意しないんだ!」と叱られてしまうかもしれません。だから、叱るのが苦手な指導者も、叱らざるを得ないときはあります。

 また、よくない行動を見かけても「よっぽどのことがあったのだろう」「次からはきちんとしてくれるだろう」と考え1度目は何も言わず様子を見るという考えの指導者もいます。

 これも、よくありません。1度目は様子を見た指導者も、2度目は言うでしょう。この状況を注意された新入社員から見ると、「1度目は何も言われなかった」「2度目は言われた」という事実だけが残ります。1度目は見逃してもらったとは考えず、2度目に言われた際、単に「今日は機嫌が悪い日なんだな」と解釈してしまうでしょう。指導者の「次からはきちんとしてくれるだろう」「頼むよ」という祈りが通じることはありません。

 だから、よくない行動に対しては、1度目から注意が必要なのです。そこで、問題になるのは注意の仕方です。