ドアを開けた姿が「蘭」に見えるから花の名前を付けちゃいました! 発表から7年でも市販されない1000馬力EVハイパーカー「デンドロビウム」とは?

AI要約

ヴェンダ・デンドロビウムのプロトタイプは2017年のジュネーブショーで初公開され、1000馬力のエレクトリックモーターを搭載している。

独創的なデザインやエアロダイナミクスにも注目され、カーボン製のモノコックとボディを持つ。

ヴェンダ・エレクトリック社は2020年から150台限定生産する計画で価格は150万ユーロとなる予定。

ドアを開けた姿が「蘭」に見えるから花の名前を付けちゃいました! 発表から7年でも市販されない1000馬力EVハイパーカー「デンドロビウム」とは?

 それは2017年3月に開催されたジュネーブショーでのことだった。この年のジュネーブショーは、それまでもそうだったように、ホットなハイパフォーマンスカーやスーパーカーが数多く登場した、じつに華やかなショー。その伝統のショーが、それから10年も経たないうちに消え去ってしまうとは、そのとき誰が想像することができただろうか。

 自国に大規模な自動車メーカーをもたないジュネーブショーは、世界中のメーカーに平等な、そして常に数多くの話題を提供してくれるイベントだったのである。

 ここで紹介するヴェンダ・デンドロビウムも、この年のジュネーブショーでプロトタイプが世界初公開されたスーパーカー、いやその最高出力の数字を知れば、ハイパーカーと呼ぶに相応しいニューモデルだった。

 ヴェンダとは、シンガポールに本社を置くEVヴェンチャーで、ネーミングとして選ばれたデンドロビウムもまた、シンガポールが原産となる蘭科の植物の名。実際の車両の開発には、すでにこの時点でEVに多くのノウハウをもっていた、ウィリアムズの関連会社、ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング社が、それに密接に関係している。

 フォーミュラーカーのノーズコーンをイメージさせるようなフロントセクションの造形や、縦方向に描かれる造形をもつドライビングランプ、そしてヘッドライトは、その上部の湾曲したラインの外側にレイアウトするなど、独創的なフロントマスクを実現したデンドロビウム。

 ほかにも2シーターのキャビンに乗り込むための後方に向かって開くドアや、ドライバーが希望するときにはルーフを収納することができるなど、デザイン的、機能的にはさまざまな特徴をもつモデル。

 ドアなどをすべて開いたときの姿が、先に触れたデンドロビウムに似ていることから、このクルマはそう命名されたというのがジュネーブショーでの彼らからの説明だった。

 もちろんデンドロビウムのボディは、ただ単に造型の面白さを狙ったものではない。そこにはボディからリヤフェンダーを独立してデザインするなど、エアロダイナミクスを強く意識した処理も見られ、またリヤビューからはリヤサスペンションを始め、そのメカニズムの一部を目にすることもできる。それは整備性の向上にも大きく貢献することは間違いのないところだ。

 注目のパワーユニットは、各輪にそれぞれエレクトリックモーターを組み合わせる4モーター方式。最高出力はトータルで1000馬力に達し、0-97km/hを2.7秒で加速するほか、最高速では320km/h以上を可能にするというのが、ジュネーブショー時点で公表された数字だった。

 モノコックやボディはもちろん軽量なカーボン製。この軽量性と1000馬力の最高出力で、ヴェンダ・エレクトリック社は、デンドロビウムを、2020年から150万ユーロの価格で100台限定生産する計画を掲げていた。

 過去にはさらにハイパワーな1800馬力仕様のD1デンドロビウムの開発にも、やはりウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングとともに成功しているヴェンダ・エレクトリック。残念ながら現在までに、それがカスタマーのもとにデリバリーされたという正式なリリースは届いていないが、そのプロダクション化に向けての計画は、着々と動いているとみるのが期待を込めた見方といえるのではないだろか。