「なんだ“軽専用”マスかよ」駐車場でなぜ増えた? もはや“オール軽専用”も登場 普通車停めちゃダメ?

AI要約

軽乗用車が人気を集める理由や駐車場利用のメリット、軽自動車専用駐車場の需要について述べられている。

普通車用駐車場での軽自動車利用の問題点や土地所有者の視点も紹介されている。

自治体が軽自動車サイズの区画比率を規定する理由についても触れられている。

「なんだ“軽専用”マスかよ」駐車場でなぜ増えた? もはや“オール軽専用”も登場 普通車停めちゃダメ?

 商業施設やコインパーキングで、「軽専用」と書かれた駐車マスが増えてきました。軽自動車よりも大きい小型車や普通車ユーザーからすると、空いていると思ったら「軽専用だった」、という場面も多いことでしょう。

 確かに、新車の乗用車販売台数に占める軽乗用車の割合は、いまや4割を超え、揺るぎない“日本の国民車”になっています。なかでもN-BOX(ホンダ)は2017年以降、2021年を除き四輪車全体の乗用車販売台数1位を独走し続けています。

 このように軽乗用車が人気を集める理由は、割安な税金や自賠責保険など維持費の負担が軽いことに加え、ボディがコンパクトで、買い物などふだん使いにとても便利だということが挙げられるでしょう。

 軽乗用車のボディサイズは、小型車(5ナンバー)のサイズが全長4700×全幅1700×全高2000mm(すべて最大)であるのに対し、軽乗用車は全長3400×全幅1480×全高2000mm(同)と、全長で1300mm、全幅で220mmも小さくなっています。

 こうしたコンパクトなサイズは、狭い道でのすれ違いでも気を使うことが少ない上、駐車場に停めたときも有利に働きます。

 駐車場の1台分の区画の寸法は各種法令で「小型車用:幅2.3m以上×奥行き5m以上/普通車用:幅2.5m以上×奥行き5m以上」とされていることから、時間貸し駐車場や商業施設の駐車場の多くはこの普通車用のサイズを基本に普通車用の「幅2.5m×奥行き5m」で作られています。

 そのため、軽乗用車を中央に停めると左右には50cm以上のゆとりがあり、もし隣のクルマも軽乗用車であれば、クルマ同士のクリアランスは1mほどになります。この余裕は、乗り降りを楽にしてくれるだけでなく、他車にドアをぶつける、ぶつけられる心配が少なくなるなど、心理的にも大きなメリットにつながります。

 ところで、ここで平置き式の無人時間貸し駐車場(コインパーキング)を経営する土地所有者の立場になって考えてみましょう。

 一定の広さの土地に駐車場を作る場合、1台分の区画を小さくしたほうが、より多くの台数を収容できます。

 つまり普通車よりも軽乗用車の利用が多い地域では、「普通車用の『幅2.5m×奥行き5m』で区画を設定してもムダなスペースが生まれるだけ、軽乗用車用マスで一般的な『幅2.2m×奥行き4m』とし、駐車場そのものも『軽専用』として作ってしまえばいい」というアイデアに落ち着くことが考えられるのです。

 こうした軽自動車専用駐車場は、同じスペースでより多くのクルマを収容できることから、普通車サイズで運営する駐車場より単価を安くした場合でも、面積あたりで同等の売上げを見込むことができます。さらに「他の駐車場よりも駐車料金が安い」という理由で利用者が集まれば、さらに売上げが上がる可能性もあります。

 大都市圏では普通車や小型車の利用が多いことから、敷地の形状などの都合で駐車場内の一部の区画に軽自動車サイズを用意するコインパーキングが見られる程度です。

 しかし軽乗用車の比率が圧倒的に高い地方都市では、「軽自動車専用」のコインパーキングが存在するエリアもあります。

 ただ、こうした収益上の理由や、より多くの台数を収容できるという理由から、駐車場のすべての区画が軽自動車サイズになってしまうと、普通車や小型車を停めることが難しくなるという課題が生まれます。

 そのため、一部の自治体では、商業施設などに併設する駐車場については、軽自動車サイズの区画を一定の比率以下とするような規定を設けています。