喫煙所は都会のオアシス…東京・神保町の古書店街を抜けた先にある「意外な絶景」

AI要約

古書店街が立ち並ぶ神保町エリアの歴史や魅力について紹介。南側に店舗が並ぶ理由や学生の街として栄えてきた背景を明らかにする。

神保町の名喫茶や喫茶店の魅力について触れる。古くから存在する名店や新しいスポットまで、喫茶店の持つ豊かな時間の流れを讃える。

神保町を散策する際の黄金ルートとして、本を買い、喫茶店で読書を楽しむ流れを紹介。しかし、喫煙所が少なくなっている中で、屋外喫煙所が最終目的地となる点に触れる。

喫煙所は都会のオアシス…東京・神保町の古書店街を抜けた先にある「意外な絶景」

受動喫煙への対策が強化され、煙草の吸える飲食店が少なくなってきた昨今。喫煙所を探して、街をうろうろと彷徨った経験をお持ちの方も多いのではないのだろうか。そんななか、喫煙所へ向かわなければ見ることができなかったであろう景色に出会えることも多くある。東京の喫煙所を巡りながら、そんな景色を紹介していく。今回は神田・神保町エリアに焦点を当てる。

東京随一の古書店街・神保町には、靖国通りに沿って南側に数多くの書店が並んでいる。これは1913年、神田の大火であたり一帯が焼失してしまったことをきっかけに生まれた風景だ。新たに店舗を構えることになった書店の多くが、靖国通りの南側を選んだ。南向きとなる北側では、太陽の光が店頭に並んだ本を傷めてしまうため。靖国通り拡張工事の影響をほとんど受けなかった北側に比べて、南側は拡張後の家賃が安かったため。古書店が南側に固まりつつあり、他の書店もあとに続いたため。このようなさまざまな理由によって、味わい深いふしぎな風景が形成されていったのである。

古くは江戸時代にさかのぼり、湯島に昌平坂学問所、神田に蕃書調所→洋書調所→開成所、種痘所→西洋医学所→医学所といった、東京大学の前身である教育機関が設置されたことから、神保町は学生の街として栄えてきた。その需要に応えるようにして、古書店がつぎつぎと生まれ、今日に至る。

ほかにも神保町を語るうえで、欠かすことができないものが数々の魅力的な名喫茶の存在だ。1955年開店、最古参のうちのひとつである『さぼうる』、ソフトクリームのように渦高く生クリームが巻かれたウィンナーコーヒーが名物の『ラドリオ』、建物の老朽化に伴って店舗を移転し唯一無二の雰囲気はそのままに新たな時間を刻みはじめた『ミロンガ・ヌオーバ』。他にも語りはじめるとキリがないほど、固有の輝きを持った喫茶店が存在していて、そのそれぞれに流れる時間の豊かさが、神保町という街にあでやかな陰影をもたらしている。

ぶらぶらと街を歩きながら、本を買っていき、その重みに耐えきれなくなったところで喫茶店に入り、本を読むというのが神保町散歩の黄金ルートだろう。夏ならば本を左手、アイスコーヒーを右手に、それに加えてときどき煙草を吸うことができればこのうえないのだが、神保町といえど煙草を吸うことができる喫茶店は年々減少の一途をたどっている。そんなときに、新たに見つけた黄金ルートの終着点こそ、御茶ノ水駅近く、御茶ノ水橋を渡った先にある屋外喫煙所である。